家計診断Q&A

家計診断Q&A
配偶者特別控除の枠内にこだわるか
もっと働いた方が世帯収入が増えるのか教えてください

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山田 静江先生
(やまだ しずえ)
プロフィール
税金については、収入増で(税金が増えて)家計全体の手取りが減ることはない

妻の収入が103万円を超えると、年間12万円の収入減(一時的に働き損)

妻の収入が130万円以上になると、妻は自分で社会保険に加入
(社会保険料年間約20万円の負担増で年収が150万円超くらいまで働き損)

宇田川 裕美さん(仮名)のご相談
現在103万円でおさえながらパートで働く主婦です。税金、年金とどんどん上がって行く中で、このまま103万円にこだわって良いものなのかわかりません。夫の会社からの家族手当−月額1万円は103万円を超えればもらえなくなるのですが、妻はもっと働いた方が世帯としては収入が増えてお得なのでしょうか?

宇田川さん(仮名)のプロフィール

40歳、主婦。ご主人は34歳、会社員。世帯年収は約500万円(手取り)、年間約36万円を貯蓄、現在の貯蓄残高は60万円ほど。住宅ローンはないが、自動車ローンの支払い月々約39,000円を支払っている。
今後は自動車の買い替え(平成21年頃)、住宅のリフォーム(10年後くらい)を予定している。


手取額を増やすには、130万円を越えない所まで働くか
職場を変えて145万円以上の収入を
専業主婦やパート主婦には税金の優遇(配偶者控除)、夫が会社員なら、会社からの補助(扶養手当)や、社会保険の優遇(保険料免除)があります。

そのため、会社員の妻がパートなどで働くとき、その収入によって本人(妻)だけでなく夫の税額も変わり、また夫の扶養になれるか(配偶者手当と社会保険料免除の有無)どうかによって、妻の収入が増えたのに、家計全体の手取り収入が減ってしまうということが起こります。

その節目となる妻の収入が、100万円、103万円、105万円(110万円)、130万円、141万円の5つの金額です。それぞれの節目で夫と妻、そして家計の収入にどういう変化が起こるか見てみましょう。

注) ここに挙げた金額は、夫が厚生年金加入の会社員で、妻がパートなど給与収入を得ている場合です。妻が雑収入や事業収入を得ている場合などは、必要経費の額をどれだけ計上するかによって異なります。手取り額は、計算式に相談者例をあてはめて計算したもので、500円単位で表示しています。また、住民税はその年に収入から差引かれるものとしています。これらの額は、夫の収入や会社の制度、住んでいる地域などによって異なりますのでご注意ください。なお、定率減税は考慮せず、妻は住民税の均等割全額を負担するという前提です。

1)100万円の壁…妻の収入に住民税がかかるようになる
妻の収入が1万円増える(100万円→101万円)と、妻の手取りは5,500円増、夫の手取りは同じ、家計の手取りも5,500円増

収入から必要経費(給与所得者は給与所得控除)を差引いた『所得』が35万円を超えると、住民税の課税対象となります。給与所得者の場合、最低でも65万円の給与所得控除が差引けるので、100万円(65万円+35万円)を超えると、住民税がかかることになります。
住民税は『均等割(1人4,000円)+所得割(課税所得×5%〜)』で、以前は夫が住民税を払っていれば妻の均等割は免除されたのですが、平成17年からは妻も2,000円、平成18年からは4,000円払うことになります。年収100万円を超える「妻」は、住民税額が増えていくはずです。宇田川さんも住民税額をチェックしてみてくださいね。

夫の手取りが減ることはないし、妻の収入が増えるのに家計全体では手取り収入が減ってしまうという逆転現象は起きないので、あまり気にする必要はないでしょう。

2)103万円の壁…夫の会社から配偶者手当がもらえなくなる
妻の収入が1万円増える(103万円→104万円)と、妻の手取りは8,500円増、夫の手取りは107,500円減、家計の手取りは99,000円減

大手企業で働く人や公務員には、所得の低い妻には、配偶者手当(または家族手当)が支給されることがあります。そのときの基準で多いのが「103万円」。宇田川さんのご主人の会社もそうですね。
配偶者手当が月額1万円で、もらえる基準が「妻の年収が103万円以下」の場合、妻の収入が103万円から104万円へ1万円増えると妻の手取りは8,500円増えますが、夫の収入(配偶者手当)が12万円減り、家計全体では11万円の収入減。家計の手取りも約99,000円減ってしまいます。103万円を超えて働くなら約115万円以上になるまで頑張らないと、収入が増えたのに手取りが減ったという逆転現象が起こります

3)105万円(住民税は110万円)の壁…扶養控除額減で夫の手取りが減っていく
妻の収入が1万円増える(104万円→105万円)と、妻の手取りは8,500円増、夫の手取りは2,000円減、家計の手取りは6,500円増

夫の所得税や住民税を計算するとき、妻の収入が少なければ、課税所得から一定額を差引いて計算することができます。これを「配偶者控除」または「配偶者特別控除」といいますが、差引ける金額は妻の収入で決まります。
所得税の配偶者控除(収入から差し引ける額)は、妻の所得が38万円以下(給与収入103万円以下)のとき38万円です。38万円超76万円まで(給与収入103万円超141万円まで)は、特別配偶者控除となり、38万円〜3万円が差し引けます(図表1)。

夫の所得から差引ける金額

つまり、所得税計算の際、夫の所得から控除(差引くことが)できる額が38万円から段階的に減っていくときのターニングポイントとなる妻の所得が、「40万円(給与収入では105万円)」なのです。同様に住民税の場合は、33万円の配偶者控除または特別配偶者控除ができるのが、妻の所得が「45万円(給与収入では110万円)」までということになります。
妻の収入が104万円から105万円(所得が39万円から40万円)へ1万円増えると、妻の手取りは8,500円増えるものの、夫の所得税を計算するときの所得控除額が減ることになるので、夫の手取り収入が2,000円減り、家計全体では手取りは6,500円増えます。逆転現象は起きません

4)130万円…妻が自分で社会保険料に加入する。
妻の収入が1万円増える(129万円→130万円)と、妻の手取りは17万円減、夫の手取りは7,500円減、家計の手取りは177,500円減

サラリーマンの妻が働くとき、一番ネックになるのが130万円の壁です。
妻の収入が130万円未満であれば、社会保険(厚生年金、健康保険)の保険料は免除された上で、国民年金・国民健康保険加入者と同等の保障が受けられます。でも、年収が130万円以上になると、健康保険の扶養家族(+公的年金の第3号被保険者)ではなくなるので、自分で社会保険に加入します。
社会保険加入の選択肢は2つあります。

(1) 勤務先で社会保険に加入できるなら、厚生年金・健康保険に加入
(2) 国民年金・国民健康保険に加入

(1)は保険料の半分を企業が負担してくれるため、働く人の負担は年収の約10%になります。
(2)については、国民年金保険料は定額制(平成17年は13,580円/月)ですが、国民健康保険料は定額部分と所得比例部分の組み合わせで、自治体により計算方法も保険料水準も違います。(2)の平均的な額は、年収130万円のときで21万円くらいですから、いきなり大きな負担になります。
妻の収入が129万円から130万円へ1万円増えると、妻の手取りは17万円減((2)の場合)。所得控除額が減って、夫の手取り収入も7,500円万円減るので、家計全体の手取りは17万7,500円の大幅ダウンで逆転現象が起こります。減り方が大きいため、妻の年収が150万円を超えるくらいまでは、妻の年収129万円のときの手取額を超えることはできません。

5)141万円の壁…配偶者控除も特別配偶者控除もなくなる
妻の収入が1万円増える(140万円→141万円)と、妻の手取りは8,500円増、夫の手取りは4,500円減、家計の手取りは4,000円増

税金については、逆転現象が起こらないよう配慮されているので、141万円の壁についてもそれほど気にすることはありません。

図表2は、宇田川さんの収入が100万円から5万円ずつ増えていったときの、夫婦それぞれと家計全体の手取り収入の変化を計算したものです。配偶者手当がなくなる103万円と、社会保険料免除がなくなる130万円で、手取りが大きく減ってしまうことがわかると思います。そのため、現在より手取額を増やすには、今の職場で働く時間を増やして120万〜130万円未満の収入を得るか、145万円以上になるような仕事を探すか(現在の時給では145万円以上では労働時間が急激に増えるので)、どちらかということになります。
なお、税金の面では配偶者控除のさらなる縮小が検討されており、また社会保険料の面でも保険料免除の判定基準となる収入額を引き下げることも検討されています。また、配偶者手当を廃止する企業も増えています。これらの見直しが行なわれれば、上記1〜5の「収入の壁」を意識する必要はなくなります。

チェック! <図表2:妻の年収の変化にともなう手取額の推移>

将来の事を考えると、家計の見直しも必要

ところで、収入が現状のままなら、家計の見直しが必要ではないでしょうか。
宇田川さんの家計の一番の問題は、貯蓄が少ないこと(年間貯蓄額が36万円で残高60万円)と、自動車をローンで購入していることです。税金や社会保険料の負担が増える中、家計防衛のため無駄なローンは借りないのが鉄則です。今後使う予定がわかっている資金はあらかじめ準備しておきましょう。自動車も次回の買換えでは、なるべく自己資金で購入するようにしてください。
当面の貯蓄目標は、万一に備える貯蓄として100万円、10年後のリフォームに向けて300万〜1000万円、そして自動車買換えのための資金です。当面の目標をクリアしたら、その後は老後資金。ご存知のように将来の公的年金の受取額が減ることが確実で、退職金も以前のような高水準は望めませんから、個人年金だけでは十分ではありません。
年間の貯蓄額は少なくとも手取収入の2割(100万円)はキープしたいところ。いただいた資料によると、年間手取収入−家計支出×12=36万円とはなりませんから、支出を減らす余地はありそうです。働き方(収入)と支出そして貯蓄。今の安定した生活を続けるためにも、将来の変化を見据えたバランスのいい計画を立ててください。

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