家計診断Q&A

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貯蓄ほとんど無しで、変動金利の住宅ローンを返済中
今後の金利上昇に備えて、繰上返済のタイミングは?


臼井 悦子先生
(うすい えつこ)
プロフィール
計画的な繰上返済で金利上昇に対応

夫の定年までに住宅ローンを完済する

教育資金準備、老後資金準備も視野に入れる


阿部美紀さん(仮名)のご相談
住宅ローンを組んで、3年になります。35年ローンで契約。

昨年、繰上げ返済前提に、公庫のローンから変動金利で別の銀行に借り換えをしました。 しかし、金利が徐々に上昇。今のところ、繰上げ返済はあまりしていませんが、金利上昇に備えて、繰上げ返済を考えています。年間に50万から100万は繰り上げしたいと考えていますが、それで金利上昇を乗り切れますでしょうか。それともある程度、貯めてからどーんと返済したほうが良いのでしょうか? 貯蓄は、現在ほとんどありません。

まず、貯金をして固定金利に切り替えたほうが無難でしょうか?タイミングを教えてください。

阿部美紀さん(仮名)のプロフィール

38歳、専業主婦。35歳・会社員の夫、4歳・2歳の子どもとの4人暮しで、現在は一戸建てにお住まい。
<収入について>
年収 600万円

<貯蓄について>
毎月25,000円を貯蓄。
貯蓄残高は現在100万円

<住宅ローンについて>
2,840万円の住宅購入
住宅購入時の住宅ローン借入金額・・・2,340万円
借り換え後
現在の残高 2,168万円
現在の金利 1.182%(変動金利)
返済終了時期 2038年3月
返済額 68,724円/月 ボーナス返済なし
住宅ローン繰上返済の目的
・・・返済期間を短縮するため、支払う利息を少なくするため

 


お子様の教育費がかからないうちに、
数回に分けて繰上返済することを目指しましょう
 
1.計画的な繰上返済で金利上昇に対応
阿部さんは、昨年、銀行の変動金利に借り変えたばかり。金利が1%台前半と低いために返済額にも余裕がありますね。その反面、これからの金利上昇が心配なのは無理もありません。

金利が上昇すると、返済額が増え、支払う利息も多くなります。一番困るのは、家計が返済額の増加に耐えられず破綻してしまうことです。そこで、家計に無理なく返済できる阿部家の金額はいくらなのか、金利に置き換えて確認してみましょう。

一般的に家計に無理のない返済額は年収の20〜25%と言われています(住宅ローン以外のローンがない場合)。年収600万円の阿部家では、25%なら年間返済額150万円、1ヶ月あたりに直すと12万5,000円(ボーナス返済なし)までが無理なく返済できる目安です。返済額12万5,000円になる金利を逆算すると、現在のローン残高では5.8%。さらに慎重に考えて、返済額の年収に対する割合を20%に抑えるなら、毎月10万円まで、ローン金利は4.0%です。阿部家では住宅ローンの金利は5.8%程度、慎重に考えるなら4.0%程度まではまず大丈夫と考えていいでしょう。

年収に占める
返済額の割合
  返済額/月   金利の目安
25% 12万5,000円 5.8%
20% 10万円 4.0%

現在の金利水準から考えると、今すぐに対策をとらないと返済が苦しくなる、ということはなさそうです。しかし、住宅ローンの金利がいずれ5.8%程度まで上昇すると考えるなら、対策を立てておく必要があります。固定金利型への借り換え、繰上返済の2つの方法があります。現時点での固定金利型への借り換えは阿部さんにはお勧めしません。返済中のローンが低金利でありそのメリットを受け続けた方が有利であると思われること、借り換えには手数料がかかるためです。まず、繰上返済を検討しましょう。

繰上返済で注意すべきは余裕資金で行うこと。手元のお金をほとんど繰上返済にあててしまうと、家族が入院するなどの不測の事態に対応できなくなります。阿部さんの現在の貯蓄額は100万円、これは生活予備費としてとっておきます。繰上返済用の資金はこれから準備すれば大丈夫です。


2.ご主人の定年までに住宅ローンを完済する
阿部家の住宅ローンで問題になるのは、金利上昇だけではありません。住宅ローンを全て返し終わるのが、ご主人が67歳のとき、と遅いことです。定年が60歳、年金を受け取り始める65歳まで働くとしても定年以降の収入ダウンは避けられません。できればご主人が60歳、せめて65歳までにはローンを完済しておきたいものです。

そのために住宅ローンの返済期間を7年間、最低でも2年間の短縮を目指しましょう。現在の返済条件で考えると、7年間短縮するためには約400万円、2年間短縮では100万円の繰上返済が必要になります。これは「つもり貯金」で準備しましょう。家計に無理のない返済額の12万5,000円(1.より)を毎月返済したつもりになり、実際の返済額68,724円との差額およそ5万5,000円を繰上返済用に貯金していくのです。実行すれば1年間で66万円になります。返済時期が早いほど期間短縮の効果は高くなるので、1年間分貯めて繰上返済する、を繰り返せばいいでしょう。まずは1年後の繰上返済を目標にします。その後、上のお子さまが中学に入学するまでの7年間〜8年間、毎年1回を目安に繰上返済していかれてはどうでしょうか。お子さまお二人とも幼稚園に通園し教育費がかかる年は繰上返済を見送っても構いません。

こうして返済期間を短縮すると同時に、ローン残高も減らすことができ、金利上昇への抵抗力も強まります。下の表は、ローン残高が1,000万円のとき、ローンの残年数、ローン金利ごとの返済額がわかるものです。たとえば、ローン残高が1,900万円、残り期間28年、金利6%なら、返済額は 62,000円×1.9=117,800円、約12万円となります。ローン残高が減ったら、この表で返済額をシミュレーションし無理のない返済額かどうかを確認しておけば必要以上に不安になることはありません。


借入額1,000万円あたりの毎月返済額(目安)

 

 

4%

5%

6%

7%

8%

20年

61,000円

67,000円

73,000円

79,000円

85,000円

22年

58,000円

63,000円

69,000円

75,000円

82,000円

24年

55,000円

60,000円

66,000円

73,000円

79,000円

26年

52,000円

58,000円

64,000円

70,000円

77,000円

28年

50,000円

56,000円

62,000円

69,000円

75,000円

30年

48,000円

54,000円

61,000円

67,000円

74,000円

←ローン金利


返済残り期間

 


3.教育資金・老後資金も視野に入れる
住宅は大きな買い物ですが、他にもまとまったお金が必要になるものがあります。代表的なのが「子どもの教育費」と「夫婦の老後費用」です。いずれも時間をかけて少しずつ準備していくもの。現在の余裕資金を全て繰上返済にあてるのではなく、将来に向けても積み立てていきましょう。

ご主人が70歳までのご家族の年齢と、どんな資金をどの時期に準備したらいいかを示したのがこの表です。

阿部さんのお子さまは4歳、2歳とまだ小さいですが、この時期から毎月積み立てで準備をしていけば安心です。大学教育費としてお子さまひとりにつき一定額を積み立てましょう。最初はおひとりにつき1万円程度から始めて、家計に余裕が出れば金額をアップする、ボーナスからも捻出するなどして、必要な教育費の半額を目標に大学入学までに準備すれば安心でしょう(残り半分は家計から出費)。老後資金は40代になってから準備すればいいでしょう。

●大学4年間の教育費・生活費(入学から卒業までの総費用)
 

大学(自宅)

大学(下宿)

国公立

530万円

880万円

私立

(文)700万円

(文)1,000万円

(理)880万円

(理)1,200万円

 
(参考データ)

文部科学省「私立大学等の平成15年度入学者に係る学生納付金等調査結果」

文部科学省「平成14年度 学生生活調査報告」

国民生活金融公庫総合研究所「平成16年度 家計における教育費負担の実態調査」

受験料、大学納付金(入学金等・未入学大学含む)、住まい探しの費用、

通学費、食費、住居・光熱費、保険衛生費、娯楽・嗜好費、その他の日常費などを含む。


金利上昇に必要以上に怯える必要はありません。何%程度の金利までなら現在の家計にダメージを受けないかをまず把握し、繰上返済の準備をしていきましょう。教育費や老後資金にも目配りしておくことも大切です。




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