家計診断Q&A

家計診断Q&A


教育費、住宅の修繕費などでお金を使い果たして、
将来生活できなくなるんじゃないかと不安です


臼井悦子先生
(うすい えつこ)
プロフィール
今するべきことは、「現在の家計管理を続けること」

住宅ローンの繰上返済より貯蓄を優先

子どもの教育費は、目標額を決めて準備する


上田 綾さん(仮名)のご相談
主人は今年の7月に転職し、私は4月にパートで勤めていた会社で正社員になりました。 住宅ローンの支払いが月11万円あり、大きなウエイトをしめています。繰上返済をして、月々の支払いを減らしたいところですが、教育資金の方が先でしょうか。築20年ほどになる中古物件ですので、修繕費も必要になるでしょう。

子供たちは大学には進学しないと言っていますが、これから先気が変わり進学したいと言い出した時のために、お金も貯めておきたいです。

転職したばかりで、退職金もあてにはなりませんし、まだ半年も働いていないので安定せず、ボーナスなどはどれぐらい出るのかわかりません。 加入している医療保険も、これでいいのか心配です。

上田綾さん(仮名)のご相談

39歳、会社員(4月にパートから正社員になった)。42歳、会社員(7月に転職した)の夫と14歳と12歳のお子様との4人暮らし。世帯年収 約600万円、貯蓄 300万円。

<家計の状況>
●月間収入(手取り) (円)
250,000
160,000
合計 410,000

●月間支出 (円)
生活費 食費 30,000
娯楽・こづかい 30,000
生活費 25,000
教育費 27,000
保険料(月払い用) 2,000
ガソリン代 10,000
光熱費 30,000
住宅費 109,228
通信費 20,000
年払い用
取り分け 
保険料 20,000
教育資金 20,000
その他 20,000
貯蓄 余った分を貯蓄 65,000
合計 408,228

●ボーナス/回(手取り) (円)
100,000
150,000
合計 250,000
※転職したばかりの夏のボーナス実績

●現在の貯蓄残高
郵便局定額貯金 300万円
合計 300万円


●住宅ローン
現在のローン残高 1,700万円
返済終了時期 2022年12月
(あと約16年)
金利 2.70%
(2009年8月まで固定)
返済額 毎月約11万円
ボーナス返済なし

●保険の加入状況

保険
期間
保障内容 現在の保険料
(年額)



終身 500万円 54,650円
終身 500万円 54,650円
定期
(10年)
1,000万円 62,130円



終身 日額
5,000円
1入院
60日
合計保険料(年額) 約17万円

保険
期間
保障内容 現在の保険料
(年額)



終身 500万円 39,750円
定期
(10年)
500万円 37,220円



終身 日額5,000円
1入院
60日
合計保険料(年額) 約8万円
他、子ども2人にそれぞれ、死亡保障200万円、入院5,000円、通院2,000円の共済に加入。月額保険料は、ひとりあたり1,000円。
 


転職したばかりで、慌てて繰上返済をする必要はありません。
貯蓄を増やすのが先決。

1. 今するべきことは、「現在の家計管理を続けること」

上田家では、ご主人は転職し、奥様はパートから社員になったばかりです。ボーナスの額が分からず収入の見通しがつかないので、お子さまの教育費をどう準備するか、老後はどうなるのかなどを考えて、不安になるのでしょう。そのお気持ちはよく分かります。

けれど、家計簿を拝見すると生活費を収入の範囲内におさめている、立派な黒字経営です。それどころか、保険など年払いする分は毎月取り分けて準備されていますし、教育費を積み立て、さらに余った分を貯蓄に回しています。よく考えて、家計をコントロールしていらっしゃいますね。

お金のことをきちんと考える力があり、働く意欲もある上田さんは「いつかお金を使い果たして生活できなくなる」なんてことはありません。安心してください。年収の見通しがつかないまま、将来のことを考えても現実的な対策はなにも立てられません、不安になるだけでしょう。先々のことを考え、計画を立てるのは、年収の見通しが立ってからで十分です。今、上田さんがするべきは、現在の家計管理を続け、家計を赤字にしないこと。今のままで十分です。

ボーナスの額が分かり、年収が安定するのは一年後くらいでしょうか。現在は、毎月の生活費から全てを捻出していますが、ボーナスも活用できるようになれば気持ちが楽になるはずです。自宅の修繕費などは、ボーナスを活用して定期的に積み立て準備することもできます。それまでは、仕事に慣れること、健康であることを大切に、現在の家計管理を続けましょう。残業が多いときは余った分全部を貯蓄にまわさず、外食したり、映画を観に行ったりするなど、楽しいことに使っても大丈夫ですよ。上手に息抜きしながら、家計管理を続けていきましょう。

2. 住宅ローンの繰上返済より貯蓄を優先

繰上返済で住宅ローンの返済額を減らしたいとのことですが、現在はお勧めしません。理由は2つあります。

ひとつは、上田さんのローン返済額は年収に比べて決して無理なものではないこと。一般に、家計に無理のない住宅ローン返済額は手取り年収の20〜25%程度といわれています。上田家の現在の年収600万円に対して、ローン返済額は130万円なので、その割合は22%。おふたりとも入社1年目でボーナスを少なく見積もっていることを考えると、急いで繰上返済する必要はないでしょう。

ふたつめは、繰上返済用の資金が十分でないこと。一般に、事故や病気など万一の時のために、生活費3か月分程度の100万円は手元に残しておきたいものです。けれど、上田家は転職して一年も経っていないため、余裕を持って生活費半年分200万円を残しておきましょう。すると、繰上返済に充てられるのは、現在の貯蓄300万円から100万円、それにボーナス25万円を加えた125万円です。これを繰上返済(返済額軽減型)にあてると、毎月の返済額は11万円から10万円とおよそ1万円少なくなります。1万円ではさほど効果があるとは思えません。その一方で、少なくなった貯蓄額を取り戻すために、家計をやりくりして貯蓄することになるかもしれません。

今、繰上返済するのはひとまず見送り、何にでも使える貯蓄を優先しましょう。資金が十分に貯まってから、繰上返済する必要があるかを考えればいいのです。タイミングとしては、金利が見直される3年後(2009年8月)がいいでしょう。その頃には、おふたりのお仕事も安定しているでしょうから、予備費として100万円を残しておけば大丈夫です。効果的な繰上返済ができると思いますよ。

繰上返済の効果
実施時期 繰上金額   毎月の返済額 効果
2006年(現 在) 125万円 11万円が10万円になる 1万円減
2009年(3年後) 225万円 11万円が9万円になる 2万円減
※ 金利は2.7%で計算。返済額は1,000円以下を四捨五入した金額。


3. 子どもの教育費は、目標額を決めて準備

お子さんふたりとも「大学に進学しない」と言っているけれど、大学や専門学校を希望したときのために教育費を準備しておきたい、ということですね。子どもから大人に成長していく過程では、ちょっとしたきっかけで視野が急に広がったり、グンと成長することもめずらしくありません。大学進学も選択できるように教育資金を準備しておきたいですね

さて、大学4年間でかかる教育費・生活費は、自宅通学なら国公立で530万円、私立文系で700万円、私立理系で880万円です。授業料のほか、通学費・生活費なども含んだ金額になっています。

大学4年間の教育費・生活費(入学から卒業までの総費用)
  大学(自宅) 大学(下宿)
国公立 530万円 880万円
私立 (文)700万円 (文)1,000万円
(理)880万円 (理)1,200万円
(参考データ)
文部科学省、国民生活金融公庫総合研究所調べ 授業料のほか、受験料、大学納付金(入学金等・未入学大学含む)、住まい探しの費用、通学費、食費、住居・光熱費、保険衛生費、娯楽・嗜好費、その他の日常費などを含む。

この全額を入学までに準備する必要はありません。ある程度を貯蓄で準備し、不足する分は、毎月の生活費から出す、お子さんが奨学金を利用する・アルバイト代を充てるなどで対応できます。

自宅から私立文系に進学した場合の資金準備の例として、貯蓄で180万円、在学時は生活費から毎月4万円、奨学金を毎月3万円、アルバイトで毎月4万円なら賄うことができます。お子様ふたり分なら360万円貯蓄することを目標にします。毎月の教育費の積立2万円を続ければ、現在の貯蓄と合わせれば可能な額だと思われます。

大学4年間費用の準備方法(私立文系の場合)
貯蓄から 180万円
生活費から 192万円
奨学金 144万円
アルバイト 192万円
合計 708万円
 
毎月4万円×4年間
毎月3万円×4年間
毎月4万円×4年間
 


あらかじめ大学進学を援助する準備があることをお子さまに伝え、親ができる範囲と子ども自身が頑張って欲しい範囲をしっかりと伝えておくことも大切かもしれませんね。

なお、ご加入の医療保険が日額5,000円で心配とのことですが、保障を見直す必要はないと思います。会社員なら健康保険からの給付を受けられるからです。入院などで医療費がかかっても、高額療養費を申請すれば1ヵ月の医療費およそ8万円を上回った分は後で戻ってきます(差額ベッド代などは全額自己負担)。また、その間働けずお給料の支払いがなければ、給与のおよそ6割相当が健康保険から支給されます(1年6ヶ月まで)。





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