家計診断Q&A

家計診断Q&A


世帯年収850万円、貯蓄150万円で
3500万円のローンは可能でしょうか?


山田 静江先生
(やまだ しずえ)
プロフィール
マイホーム購入で、年間支出は約160万円アップ
   
使途不明金を減らして計画的な家計運営ができれば、購入可能
   
住宅ローンは固定金利(25年または30年)で借り、いずれ繰上返済を。

岡野尚美さん(仮名)のご相談

現在、夫40歳(年収630万円 私の年収230万円)、貯金150万です。昨年一年間の貯蓄額は100万円でした。

以前は主人の両親と自営業を営んでおりましたが、不況で年収300万が精一杯の収入だったため、転職し3年になります。私も子供が小学生になり正社員として働けるようになり収入もふえ、そのためわずかばかりですが、貯蓄もできるようになりました。 生活も安定し、住宅購入を考えるようになり、諸費用込みで4000万円(本体3800万円、諸費用200万円)の物件をすすめられて現在検討中です。

親から500万円の援助が受けられるので、3500万円をローンでということになると思うのですが、現在の収入・貯蓄額では、とても不安です。我が家に合った借り入れ金額等アドバイスしていただけますでしょうか。


岡野尚美さん(仮名)のプロフィール

夫40歳(会社員)、長男15歳、次男13歳、長女9歳の5人暮らし。借家にお住まい。

<家計の状況>
世帯年収
630万円
220万円
850万円
 


支出を見直し、先に貯蓄
ローンは固定金利で年間返済額を200万円以下に
1.現在の家計と購入後の家計

現在の家計(表1-〔1〕) 住宅購入後(現状で試算)-(表1-〔2〕)

いただいたデータから、岡野家の現状の家計は「表1-〔1〕」の通りです(黄色のセルは筆者が追加)。手取収入合計が756万円に対し、昨年一年間の貯蓄額が100万円ということですから、自動車関連費をボーナスから別途10万円支出しているとしても、それ以外の使途不明金が年間で約250万円もあります。被服費やレジャー費などが計上されていないので、そういった費用がかさんだ可能性はありますが、それにしても金額が大きすぎます。家計支出の現状を把握できていない、ということは、家計運営において大きな問題であるということをまず認識してください。

3500万円のローンを組んで家を購入した場合、金利3.5%(全期間固定)、借入期間30年とすると、ローン返済額は月額15万7,000円、年間で188万4,000円です。家を持てば固定資産税がかかりますが、一戸建てだと大体12万円〜20万円の範囲です。一戸建ての固定資産税は当初3年間少し減額されますが、それ以降はずっと上記金額を払うことになります。このほか、火災保険やその他費用として、最低でも平均で月1万円はかかります。すべて合計すると、年間で約215万円となり、現在より約160万円負担が増えます。 現状のまま、マイホームを買ったときの家計の変化を示したのが「表1-〔2〕」です。現状で年間100万円しか貯蓄できない状態で、160万円支出が増えるわけですから、当然ながら年間約60万円の赤字です。これからお子様のお金がかかる時期を迎えるということを考えれば、マイホーム購入をお勧めすることはできません

2.マイホーム購入を可能にする家計の見直し

住宅購入後(家計の見直しと変化を反映)-(表1-〔3〕)

しかし、現在決して収入が少ないわけではないので、もし「表1-〔3〕」のように家計支出を見直して管理できるのであれば、マイホーム取得も夢ではありません。 まず、自動車関連費については、月1万円のほかにボーナスから30万円程度の予算を立て、修理や車検などに使ったお金以外は、次回の購入資金として貯めておきます。また、毎月の使途不明金を2万円以内に抑え、毎月3〜4万円はあらかじめ貯蓄に回します。余ったら貯蓄ではお金は貯まりません。必ず先取りしておきましょう。そして、ボーナスからは、固定資産税15万円、自動車関連費30万円、被服費・レジャーなどの費用20万円を別にしておいて、それ以外(現状なら85万円)はすべて貯蓄します。 以上のように管理していくことで、マイホーム購入後も、自動車購入資金のほかに、年間約130万円の貯蓄が可能になります。

3人のお子様が高校まで公立で済んだとしても、大学や専門学校では、入学時の諸経費や学費だけで、300万円(国立大学)から560万円(私大理系)かかります。学費以外の費用は、お子様自身が奨学金を借りたり、アルバイトをしたりすることでまかなうにしても、今後13年間(下のお子様が大学を卒業するまで)毎年100万円以上貯蓄できるだけの余裕がないと、家計運営が厳しくなります

3.住宅ローンは固定金利で

住宅ローンについてですが、今後金利が上昇する可能性があることを考えると、まずは「全期間固定金利」のローンを優先して選ぶことをお勧めします。たとえ当初低金利で返済が楽だったとしても、下記の表を見ればわかるとおり、借入金利が1%上がっただけで年間返済額は20万円以上増えてしまいますから、将来の金利アップはできるだけ避けたいものです(増加額は残高や返済期間によって多少異なります)。

表2:3500万円を借りたときの年間返済額と20年後の残債(ローン残高)の目安

金利

項目\返済期間

25年

30年

35年

2.5%

年間返済額

188万円

166万円

150万円

20年後の残債

885万円

1467万円

1876万円

3.5%

年間返済額

210万円

189万円

174万円

20年後の残債

963万円

1589万円

2023万円

4.5%

年間返済額

233万円

213万円

199万円

20年後の残債

1043万円

1711万円

2165万円

奥様の収入やご主人のボーナスが不安定なこと、今後10年間はお子様の教育費負担が続くことを考えると、年間返済額は低くしておきたいところです。とはいえ、期間を長く設定すれば、当面の負担はは減るものの元本の減り方が遅くなり、20年後(夫60歳時:退職または収入激減)にはまだ多額のローン残高が残ることになります。たとえば期間35年で借りた場合(表2)には、20年返済した後でも1876万〜2165万円ローンが残っています。

年間返済額と20年後の残債の両面から候補を削除して残ったうち、条件がもっとも悪い(実現性が高い)のが、前述の家計見直しシミュレーションで使った、年間返済額189万円(借入金利3.5%、期間30年)の設定です。最悪でもこれくらいという目安になります。 期間が短いほど20年後の残債は少ないので、2%台の金利で借りられれば期間25年が理想です。しかし、年間返済額が200万円を超えるようなら期間を長く(26〜30年)設定して借りておいて、将来お子様の教育資金のメドがついたら、繰上返済で残債を減らしていってください。






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