家計診断Q&A

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今回のご相談テーマ
 

老後の資金はいくら有れば安心なのでしょうか?

 
今回、回答いただく先生は

山根 克規先生
(やまね かつのり)
プロフィール
アドバイスのポイント
  • 将来設計、人生設計はご自身の価値観に基づき、将来こうありたいという姿から考える
  • 具体的に生活に必要な金額を計算し、年金などを加味することで金額を求める
  • 必要金額に見合った、仕事えらび、ライフスタイル、投資などを検討すべし

加藤しおりさん(仮名)のご相談

老後資金について教えてください。

まだ先のことではありますが、やはり年金問題など先々の不安が大きいです。 その分できるだけ早いうちに貯金を増やしたいと思い、毎月10万円以上貯金しています。 計算上では夫が退職した際に5000万円程度の貯金が見込まれます。 私は不安が大きいですが、主人は、考えすぎはよくないと言います。

もし何らかの目安があればそれを目標にして貯蓄し、それを超える金額は、何か生活向上のために使っても良いのでしょうか?

加藤しおりさんのプロフィール

25歳 専業主婦。夫28歳会社員、長男1歳の3人暮らし。 住まいは賃貸。

年間収入
世帯年収 700万円

人生設計で必要な生活費と、受け取れる年金を知ることで
安心できる蓄えの目標額は決まります

日本経済の先行き不透明感や、消えた年金問題など、私たちの将来設計に重大な影響を与える状況が続いていますね。
このような中、多くの方が将来に対する不安を抱えていらっしゃいます。
将来への不安から貯蓄やその他の準備をすることは大変素晴らしいことですが、それも度が過ぎると良くありません。何事もバランスが大切です。

まず人生設計を考える上では、現在の収入や状況の延長上ではなく、将来どうありたいか、どこで、どのように暮らしたいか?を明確にする必要があります。
この部分は個人個人の価値観によって、全く違うものになりますので、まずはご主人としっかり話し合ってみましょう。ここが明確になって初めてライフプランやファイナンシャル(マネー)プランが立てられます。生きるということは、お金が必要ですから、事前に計画を立てることは必要不可欠です。
そして毎月いくら必要でしょうか?また何か大きな出費が定期的に見込まれたら、それも加味しましょう。

その生活を実現するには、一体いくら必要でしょうか?
−まず何才で定年退職するかを考えましょう。
−その年齢から平均寿命までそれぞれ何年あるでしょうか?

最低でも平均寿命までは計算に入れます。できればプラスアルファで計算するほうが賢明でしょう。

平均年齢+アルファの生活費を具体的に計算すると約1億円!

具体的に考えましょう。
仮に65歳で退職するとします。
男性の平均寿命は現在約79歳です。ここではプラス6年加算して、85歳とします。そうなると65歳から20年となります。
一方、奥様はご主人が65歳のとき、3歳違いですので62歳です。女性の平均寿命は約86歳です。プラス4歳で90歳と計算すると62歳から28年あります。
ということで、まとめると、ご主人が65歳定年以降、お二人で20年、奥様お一人で8年の生活が待っていることになります。 なんだかちょっぴり淋しい気がしますが、ここは気合を入れて計算に徹しましょう。

お二人での毎月の必要生活費を仮に25万円としましょう。
すると年間300万円、それに旅行やお孫さんへのお小遣い、その他の費用で350万円としましょう。
そして奥様お一人の場合に毎月の必要生活費を20万円としましょう。
年間では240万円ですが、先ほどと同様に40万円ほど加算して280万円としましょう。
先ほどの年数と、この金額を掛け合わせて見ます。
お二人での生活費
350万円×20年=7000万円
奥様お一人での生活費
280万円×8年=2240万円
これらを足して9240万円
さらにお二人の葬儀費用で500万円とすると、合計で9740万円、約1億円が必要となります。
なんとビックリな数字ですね。

しかし1億円をご用意いただくわけではありません。
ここで考えるのが年金です。
社会保険庁のホームページにある、年金試算を利用して簡易的にシミュレーションしてみましょう。

ご主人が仮に、これまで5年間会社員として働き、その間の平均月収を30万円、これから60歳までの平均月収を50万円として計算すると、65歳からの年金額は214万円で、85歳までに4280万円受給できるとなっています。
一方奥様ですが、これまで3年間OLを経験し、その間の平均月収を20万円、3年間専業主婦で今に至り、今後2人目のお子さんを出産、小学校に上がるまで8年間主婦として、 その後55歳まで月収10万円のお勤めをした場合、年金額は65歳から96万円です。
その金額はご主人が生存中の金額で、死亡後は遺族年金か、ご本人の年金か、多いほうを受け取れます。この場合では遺族年金となりますね。
上記各年金額は国民年金と、厚生年金を足した金額です。
国民年金を約80万円として考えると、ご主人の厚生年金額は約134万円。
遺族厚生年金はこの4分の3ですので、約100万円です。
つまり奥様の受け取る遺族年金はご本人の国民年金80万円と100万円で約180万円となります。

これらを計算するとご主人が85歳までの受け取る年金が4280万円。
奥様が65歳からご主人が85歳までの17年間の年金が1632万円。
奥様お一人の8年間の年金額は1440万円。
上記を合算すると7352万円となります。
かなりの金額ですね。

ただし、今後の年金改正など減る可能性が高いので、その分を加味して仮にこの70%受給できるとしましょう。ただし、この辺りの減額は確定したものではなく、あくまでもリスクを加味するという意味で勝手に決めていますのでご理解下さい。
そうなると約5000万円です。

結果1億円から5000万円を引くと残り5000万円が必要となります。
ちょうど今のまま貯蓄をした場合の金額ですね。

ただしこの計算は私が仮の数字で行ったものですから、ご自身で数字を当てはめて、今一度計算してみて下さい。また途中で年齢の加算や、年金の減額、月収などを自己判断で計算してみました。楽観的に考えすぎるといけませんので、少しリスクを考慮して、悪いほうに考えました。
備えあれば憂いなしですからね。しかし、悲観的に考えすぎるのも良くありません。常識の範囲で計算してみて下さい。

これらの計算でお分かりいただけたと思いますが、人生設計は正に自分次第なんですね。 どのような暮らしをするために、どのくらいのお金が必要か?それは人それぞれです。 ぜひお二人の将来をしっかりと考えて見ましょう。

必要以上に貯金をしても、結局は使わずじまいで、せっかくの苦労も徒労に終わるかもしれません。お二人の価値観にあった生活のために、どこにどれくらいのお金をかけるのかは、とても大切になります。
そしてそのために必要な金額を得るための、仕事選びが大切です。
収入は仕事で決まりますので、人生設計に見合った仕事選びを考えましょう
必要以上に稼ぐがゆえに、大切な時間が取れないことも不幸です。

さらには貯めたお金は預貯金だけではなく、一部のお金を多少のリスクをとりながら大きく殖やす「投資」も検討し、積極的に勉強する必要があります。
長い年月の間にお金をしっかり成長させるすべを知っているか否かで人生設計も大きく変わります。 特に最近では企業年金も確定拠出年金といって、自分で投資指示をする年金が主流になりつつあります。
その意味からもぜひ投資は「大人のたしなみ」として知識をつけましょう。

これらを早く実行することで、ゆとりある楽しく充実した人生が送れると思いますよ。
今回の話を参考にして頂き、ぜひ頑張って下さいね。

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