家計診断Q&A

家計診断Q&A
今回のご相談テーマ
 

夫の定年時ふたりの子どもはまだ小学生の、年齢差19歳の夫婦です。
将来の生活設計と主人の死亡保障についてアドバイスをお願いします

 
今回、回答いただく先生は

臼井 悦子先生
(うすい えつこ)
プロフィール
アドバイスのポイント
  • 奥様が収入を得る力をつける準備を開始
  • 現在は、お子様の教育費を準備するのが優先
  • ご夫婦それぞれの死亡保障を定期保険で準備する

大竹美穂さん(仮名)のご相談

私たち夫婦は年の差があり、そのため、主人が歳をとってからの子供となりました。
主人は会社員で定年は62歳の予定です。その頃、子供たちは、まだ小学生。一番お金のかかる時期には年金生活です。3年後ぐらいには私も働きに行くつもりですが、生活していけるか心配です。

家は昨年、購入しました。昨冬のボーナスの一部で繰上返済をし、現在のローン残高は1,600万円、ローン期間は15年です。
主人は日額1万円の入院保険に加入していますが、死亡保険金が支払われる保険には加入していません。54歳という年齢なので保険料が高くて支払いを考えると躊躇してしまいます。

今は、ボーナスが比較的もらえているので良いのですが、これからは減っていくようです。児童手当・乳幼児医療助成は、収入制限にひっかかり、もらえていません。今後のわが家の生活設計や、主人の死亡保障がいくらほど必要か教えて頂きたく思います。よろしくお願い致します。

大竹さんのプロフィール

35歳、専業主婦。54歳、会社員の夫、子ども2人(2歳、0歳)の4人暮らし。

手取り年収
月収 33万円
年間ボーナス 200万円
合計 約600万円
貯蓄残高 400万円
毎月5万円を積み立て貯蓄。
 
住宅ローン
借入残高 1,600万円
借入期間 15年間
金利 2.55%
金利タイプ 10年固定

ご主人の定年までに、奥様が収入を得る力を持つことが大切

奥様が安定した収入を得ることができるよう早めに準備しておく

大竹さんは、ご主人が20歳近く年上、お子さまもまだ小さいため、将来の生活に不安を感じていらっしゃるのですね。では、具体的な対策を考えていきましょう。

大竹家の一番の課題は、お子様が小学生のときにご主人が退職を迎え、収入が減ってしまうこと。年金収入だけで、成長期のお子様ふたりを育て上げるのは難しいでしょう。これを解決するには、奥様が働いて家計を支えることです。ご主人が退職される頃までには、安定した収入を得られるように、今から少しずつ準備されることをお勧めします。どんな仕事をしたいか考えたり、どんな仕事があるかハローワークで相談してみるのもいいでしょう。お子様の手が離れたら短時間勤務の仕事に就いてみる、など無理のない範囲でできることから取り組んでみてはいかがでしょう。いずれは、奥様の収入とご主人の年金で生活費を賄えることを目標にしてください。

では、ご主人の年金はどのくらいもらえるのでしょうか。
受け取れる年金額は、働いている間の給与や賞与の金額などにより変わるので、現時点で正確な金額をつかむことはできません。けれど、社会保険庁のホームページで試算を申し込めばおおよその見込み額を教えてもらえます(社会保険庁 http://www.sia.go.jp 相談案内 年金見込額試算)。会社員で50歳以上なら、年金手帳に記してある基礎年金番号と名前を入力すればOK。後日、年金試算額が郵送されてきます。ぜひ申し込んでみてください。

しかし、この試算額には加給年金や勤務先独自の企業年金などは含まれていません。加給年金は、家族手当的な意味合いのもので、条件を満たせば一定期間受け取れます。大竹さんの場合は、第1子が18歳になる年度末までは約85万円、以降は少なくなり、奥様が65歳になると加給年金はもらえなくなります(年金は平成19年度価格)。社会保険庁の試算額に、この加給年金を加えたものがおおよその受け取り額と考えればいいでしょう。

住宅ローンの繰上返済よりも、教育費の準備が優先課題

大竹家の住宅ローンは、ご主人が退職してからも返済が続く予定です。これを気にされてか、昨冬のボーナスで繰上返済をされたようですね。しかし、現在は繰上返済よりも教育費を目的にした貯蓄に力を入れた方が良いでしょう。

住宅ローンを借りるときは、団体信用生命保険に加入するのがふつうです。ローン返済中に借りている人が亡くなると、支払われた保険金でローンは完済されます。ご主人の死亡保障がない大竹家では、(団体信用生命保険に入っていれば)余裕資金を繰り上げ返済にあてず貯蓄にまわした方が、万一のことを考えると、手元に残るお金は多くなります。ご主人が退職されるときは、ローン残高は700万円程度になっていると思われますので、退職金で完済は可能でしょう。

下の表は、幼稚園から大学までそれぞれにかかる教育費の平均的な金額です。大学でまとまった費用が必要になることが分かります。ご主人が退職するまでに、大学で必要な費用の半分程度、可能なら6割程度を貯蓄することを目指します。高校までは生活費の範囲内でやりくりします。

  幼稚園 小学校 中学校 高校 大学(自宅) 大学(下宿)
公立 70万円 190万円 140万円 160万円 530万円 880万円
私立 150万円 520万円 380万円 310万円 (文)700万円 (文)1,000万円
(理)880万円 (理)1,200万円

※ 授業料、受験料、学校外学習費、生活費(住居費・食費など)を含む。
(出典)

※幼稚園から高校まで: 平成16年度 子どもの学習費調査(文部科学省)
UFJ銀行「子どもの教育費(2000年6月)」
※大学: 文部科学省「私立大学等の平成15年度入学者に係る学生納付金等調査結果」
文部科学省「平成14年度 学生生活調査報告」
国民生活金融公庫総合研究所「平成16年度 家計における教育費負担の実態調査」より

次に、お子様が大学卒業するまでの大竹家の生活設計をご提案します。

年齢 準備期 やりくり期 自立期
ご主人 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76
奥様 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57
第1子   小学生 中学生 高校生 大学生  
第2子   小学生 中学生 高校生 大学生
  住宅ローン  
ご提案 【準備期】
奥様の収入をプラスできるようにする
教育費を貯蓄
【やりくり期】
退職金で住宅ローン完済
奥様の収入と年金の範囲内で生活
【自立期】
教育費は貯蓄とお子様の
奨学金などで賄う
奥様リタイアに備えて貯蓄

ご主人が退職するまでは

奥様が本格的に働き始める準備期間とします。お子様の手のかかり具合などにもよりますが、なるべく早く準備を始められるのがよいでしょう。ご主人の年収がこれから減っていったとしても、ふたりで働いていればカバーできます。9年間で教育費を700万円貯めることを目指すなら、毎年80万円程度を貯蓄していきます

ご主人退職後からお子様が大学に進学するまでは

ご主人の年金と奥様の収入で生活できるようにやりくりします。家計が赤字にならないことが基本です。お子様の中学・高校時代は、塾や習い事などで費用がかさむことも考えられます。家計の状況を考えて無理がないか、お子様も含めてご家族でじっくり考えられた方がよいでしょう。

お子様が大学に進学されたら

学費は、貯蓄分と生活費からの支出で賄います。それでも不足するようなら、お子様がアルバイトをしたり奨学金を借りるなどで対応します。この時期は、奥様の退職後に向けた準備もしていきます。

なお、このプランは、奥様が就職した、お子様が進学したなど状況が変わる都度、ご夫婦で見直されることをお勧めします。

ご主人の死亡保障は必須ではない、奥様の死亡保障が優先課題

いま、大竹家で万一ご主人が亡くなられると、残された家族は遺族年金を受け取れます。住宅ローンの返済は必要なくなり、勤務先によっては死亡退職金が支払われます。奥様が働くことで生活費を賄うことは可能でしょう。いっぽう、奥様が万一亡くなられても遺族年金はありませんご主人は働きながら子育てをし、退職後は年金だけでお子様ふたりを育て上げることになります。残された家族にとっては、奥様の死亡保障の方が必要度は高いのです。

ですので、奥様の死亡保障3,000万円程度を準備するのが優先課題だと考えます。たとえば、3,000万円の死亡保障を保険期間20年の通信販売用の定期保険で準備したとすると、毎月の保険料は6,000円程度。これで、お子様が成人するまでの生活費を賄うことができます。

ご主人の死亡保障はあれば安心ですが、保険料が高くなるのが痛いところです。まず、勤務先で扱っている団体保険などに加入していないか確認してみましょう。保険証書を持っていないか、保険料が給与天引きされていないか、勤務先の福利厚生ガイドなども見てみましょう。もし加入していれば、新たに加入する必要はありません。なければ、ご自身での加入を検討します。奥様が働けなくても数年程度生活できる金額として、死亡保障1,000万円、保険期間10年を目安に考えてはいかがでしょうか。参考までに、先ほどご紹介したのと同じタイプの保険で、1,000万円の死亡保障を保険期間10年の定期保険で準備すると、毎月の保険料は8,000円弱になります。おふたり合わせて1万4,000円なら無理なく支払っていけるのではないでしょうか。

将来のことが不安になるのは誰しも同じです。不安をすべて解消することはできませんが、ひとつひとつに向き合って対策を考え、貯蓄や保険で準備することは可能です。いったん対策を立てたら、健康に気をつけながら家族4人での生活を十分に楽しんでくださいね。

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