家計診断Q&A

家計診断Q&A
今回のご相談テーマ
 

妊娠を機に退職、6年後にマンションを購入希望
今の家計状況でいくらの物件を購入できるでしょう?

 
今回、回答いただく先生は

山田 静江先生
(やまだ しずえ)
プロフィール
アドバイスのポイント
  • 妻退職後も、各種手当の増額分やこづかい額の見直し(支出減)の部分も貯蓄に回せば、年間140万円程度(賃貸住宅入居後は年100万円)のペースで貯蓄可能。
  • 2013年には、自宅購入資金として約3000万円を住宅資金に充てられる。
  • 子が生まれるので夫の死亡保障を準備するといい。

伊藤里佳さん(仮名)のご相談

現在1人目を妊娠中。今月退職予定です。

2010年3月までは夫の社宅(25000円)にいられますが、2010年4月からは、引越しなければなりません。賃貸アパート(駐車場代込み予算8万円)に住みながら2013年ぐらいまでには、マンションを購入予定です。いくらぐらいのマンションを購入できますでしょうか?今の状況と、今後の予定は以下のようなものです。

  • 現在貯金が2000万ぐらいある。
  • 生活に無理の無い範囲で返済していきたい。
  • 子供は2人を希望。
  • 子供が幼稚園に入ったら、パートに出たい。

あまりにも経済的に厳しいようでしたら、退職せずに今の会社に復職せざるをえないのかなと思い相談しました。

伊藤さんのプロフィール

31歳、専業主婦。29歳、会社員の夫と2人暮らし。現在第1子を妊娠中。
世帯年収:400万円(里佳さん退職後)

計画通りに現在の家計を維持すれば、4500万円程度の物件が購入できます

現在のペースで貯蓄できれば、当面子育てに専念しても大丈夫

まもなくご出産とのこと、おめでとうございます。とてもきちんと家計運営されていますね。共稼ぎであったことと安価な社宅を利用できるというメリットを最大限に生かして、「妻の収入分+約100万円」もの貯蓄をし、30歳前後で2300万円もの蓄えがあるのは立派です。

里佳さん退職後は収入が減る事をご心配されているようですが、出産後は、ご主人の会社からの扶養手当て(月額1万円)と児童手当1万円(3歳未満の場合)で、年間合計24万円の収入増があり、里佳さんのこづかいも減らす予定だとのこと。ご主人の扶養家族が妻と子の2人になるため、税金も少なくなります。お子様が生まれたことで、子ども費や保険料(死亡保障を増やす必要があるため:後述)の負担が増えたとしても、年間140万円程度の貯蓄は十分可能です(表1、車検費等の積立として、自動車費を年間10万円計上してある)。

賃貸住宅に移ってからは住宅費が高くなりますが、住宅手当(2万7000円)が支給されるので実際の負担増は月額3万8000円(9万円−2万5000円−2万7000円)で済みますから、年間100万円程度の貯蓄も続けられそうです(表1)。2年後にもう1人お子様が生まれた場合には、扶養手当と児童手当の増額分で、日常の子ども費の支出増はまかなえます。 現在のような家計運営を続けていけば、出産後仕事をやめても経済的に厳しくなることはないでしょう。もちろん仕事を続ければ家計は楽になりますが、近くに子育ての助けを頼める親などがいないのであれば、ご主人の手助けは欠かせませんし、保育料がかさむ場合もあります。ご夫婦でよく話し合って決めてください。

住宅費が年収の25%以内になるように、住宅ローン借入額を考える

2013年にいくらのマンションが購入できるかは、自己資金がいくら準備できるか、と、住宅ローンをいくら借りるかで決まります。ローン借入可能額は、金利条件のほか、購入後のご主人の年収の上昇、あるいは里佳さんの再就職後の年収によって左右されます。今後約25年間の収支がどうなるか、キャッシュフロー表で試算してみました(表2)。予定通り貯蓄できれば、2013年には約3000万円を住宅購入資金に充てることができます

ご主人の勤務先のモデルケースでは、55歳で手取り年収800万円程度とのことなので、昇給率を50歳まで3%、それ以降は昇給なしとします。里佳さんは第二子が幼稚園(保育園)に行くようになったら手取り60万円程度で働き始め、中学生になったら年収100万円に増やすと仮定。生活費は毎年2%上昇でマイホームを購入した年には10%アップするものとし、お子様の教育費は、中学校までが公立、高校は私立、大学は私立文系に通った場合の平均的な教育費(学校教育費と塾代、習い事などの学校外教育費の合計)を計上しました。

上記のような条件であれば、住宅費(住宅ローン、マンション管理費等、固定資産税)の合計が年間160万円程度(購入時の手取り年収の約27%)なら、経済的に大きな負担になることはないでしょう。マイホーム購入後数年の貯蓄額(収支差額)は少なくなるものの、ご主人が40歳以降は再び、年間100万円以上の貯蓄ができるようになります(自動車購入、入学金など大きな出費がある年を除く)。ご主人の収入が思うように伸びなければ、里佳さんの収入を増やすような働き方をすればいいのです。

住宅ローン借入可能額は、住宅費全体からマンション管理費等や固定資産税を控除して計算します。
固定資産税(と都市計画税)は、物件価格にもよりますが15万〜18万円くらい。最低でも15万円程度は見込んでおきましょう。マンションの場合、当初5年間は安くなります。

マンション管理費や修繕積立金は物件ごとの違いが大きいのですが、平均で2万円前後。自動車を所有しているなら、このほか駐車場代もかかります。タワーマンションのような立派な共有設備や管理人が常駐しているなどサービスが整っている物件では、管理費等が3万円を超える物件もあります。ずっと支払っていくものですから、必ず購入前に確認してください。修繕積立金については、月々1000〜2000円くらいの少額しか徴収していないマンションもありますが、マンションは定期的に修繕をしないと資産価値が落ちますし、積立金については、安ければいいというものでもないあります。積立金については、安ければいいというものでもないということは覚えておきましょう。

上記のことから、自動車を所有している場合、住宅ローン以外の住宅費は少なくても年間40万〜50万円かかるので、住宅ローンの返済可能額は、年間110万〜120万円です。 年間返済額からローン借入額を逆算すると(表3)、金利が3.5%の場合、借入可能額は、1832万円(年間返済110万円、期間25年)〜2227万円(年間返済120万円、期間30年)となります。ゆとりを考えると、2000万円くらいまでの借入れが妥当です。

表3:年間返済額(100万円あたり)から計算するローン借入額

  3.0% 3.5% 4.0%
25年 1758万円 1665万円 1579万円
30年 1977万円 1856万円 1746万円

※年間返済額110万円、3.5%、30年の場合、1856万円×110万/100万≒ 2042万円

仮に2000万円を借りてマンションを購入する場合、現金と合わせて準備できる額は5000万円(3000万円+2000万円)。諸費用や引越し費用などを差引くと、購入可能な物件価格は4500万〜4600万円ということになります。

死亡保障額を増やす

現在ご夫婦が加入されている保険は、終身医療保険のみですが、出産に備えてご主人の死亡保障を準備しましょう。サラリーマンですので、万一のときには里佳さんは遺族基礎年金に加えて遺族厚生年金ももらえます。しかし、いざというとき頼れる親が近くにいないこと、お子様を2人予定されていること、今後お子様の教育費がかかるようになることを考えると、「2人分の教育資金+α」で3000万円程度は準備しておきたいところです。死亡保障は、保険料が安い掛け捨ての定期保険で十分ですが、年々死亡保障額が減っていく収入保障保険や逓減定期保険を利用すれば、保険料はさらに安く済みます。

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