家計診断Q&A

家計診断Q&A
今回のご相談テーマ
 

繰上返済では、どのくらい貯金を残せばいいでしょうか
家計管理がこのままでいいのか不安も感じています

 
今回、回答いただく先生は

臼井 悦子先生
(うすい えつこ)
プロフィール
アドバイスのポイント
  • 使う目的ごとに貯蓄額を決める
  • 住宅ローン繰上返済は金利上昇リスクを避けるためと割り切る
  • 死亡保障は、お子様が成長するまでをカバーするものと考える

岩本理沙さん(仮名)のご相談

教育資金、万が一の親の介護、家の修繕費など、どのくらいの貯金を残して繰上げ返済を実行したらよいでしょうか?保険等も含め、全般的な家計管理に漠然と不安を抱えております。

もう一人子供もほしいと考えておりますので、その時期は私の収入もなくなりますが、働き続けるつもりでおります。宜しくお願い致します。

岩本さんのプロフィール

31歳、会社員。31歳、会社員の夫とお子様(2歳)との3人暮らし。
世帯年収:700万円
住居: 持ち家・一戸建て(ローン返済中)

毎月の収支
税引き後収入(円)
320,000
170,000
合計 490,000
支出(円)
食費・日用品・被服費 65,000
住居費 90,000
レジャー費 10,000
ガソリン費 5,000
水道光熱費 25,000
通信費・交通費 10,000
保育園費 40,000
こづかい 120,000
保険料 25,000
合計 390,000
貯蓄(円)
普通預金 80,000
一般財形 20,000
合計 100,000
ボーナス(年間)の収支
税引き後収入(円)
1,200,000
700,000
合計 1,900,000
支出(円)
学資保険(年払) 100,000
固定資産税 120,000
重量税・車検費 100,000
レジャー費 100,000
合計 420,000
貯蓄(円)
普通貯金 1,400,000
合計 1,400,000
貯蓄・金融資産 残高(円)
普通預金 3,200,000
家修繕貯金 700,000
定額貯金 250,000
財形貯金 500,000
教育貯金 500,000
普通預金(夫) 500,000
普通預金(妻) 4,000,000
合計 9,650,000
住宅ローン
借入時期 2005年5月
当初借入額 2,900万円
現在残高 2,070万円
返済額 毎月の給与 95,000円
ボーナス 0円
完済時期 2028年10月
金利 当初5年 1.48 %
金利タイプ 5年固定
保険・共済
NO. 保険商品名 被保険者名 保険金額 保険料
1 定期付終身保険 死亡保険金 3,000万円
入院日額 3,000円
45歳まで
11,000円(月払)
2 定期付キ終身保険 死亡保険金 1,200万円
入院日額 5,000円
42歳まで
7,117円(月払)
3 ガン保険
診断給付金
100万円(夫)
60万円(妻)
2,115円(月払)
4 交通災害共済 入院日額
12,000円
4,000円(年払)
5 交通災害共済 入院日額
12,000円
4,000円(年払)

住宅ローンは、ふたり目のお子様出産後、安定した働き方ができるようになってから、
200〜300万円程度を繰上返済されるといいでしょう

貯蓄目標額を決め積み立てを続けることで、不安感は解消されます

共働きでおふたり分の収入がある上に、貯蓄も計画的にされており、安定した家計運営をなさっています、素晴らしいですね。不安を感じていらっしゃるようですが、心配しなくても大丈夫ですよ。

岩本さんの年間貯蓄額は260万円年収の33%を貯蓄にまわしています。無駄な支出も見当たらず、とても堅実に家計管理をされています。けれど、将来「なにに」「いくら」使うか予測が立たないままだと、どんなに貯金をしても不安になるもの。使う目的ごとにいくらと貯蓄目標額を定め、積み立てていけば安心です。

岩本さんは、すでに、家修繕貯金、教育貯金、と目的別に貯蓄をなさっています。さらに、それぞれに目標額を決めて、毎月いくら積み立てればいいかを逆算してみましょう。この分は、毎月の貯蓄額10万円の中から捻出します。

修繕金の目標額は8年後(住宅購入から10年後)に200万円と考えます。家修繕貯金の残高70万円があるので不足分は130万円。これを8年間で準備するには、毎月1万5千円を積み立てればいいわけです。なお、10年後のメンテナンスで200万円を使い切る必要はなく、余れば次回のメンテナンス費用にまわします。そこで次の10年間の積立額を決めるといいですね。

教育費は、高校までは生活費のなかから支出します。大学在学中にかかる費用の半分は貯蓄から、残り半分を生活費からと考えます。ですから、貯蓄で準備するのは大学費用のおよそ半分。進路にもよりますが、お子様ひとりあたり250万円〜400万円準備することとします。岩本さんの場合、400万円準備すると考えると、学資保険の満期金180万円のほかに220万円が必要です。すでに教育貯金として50万円ありますから、不足分は170万円。ボーナス時の学資保険10万円のほかに、毎月1万円ずつを教育資金として積み立てれば達成できます。お二人目のお子様の分は、奥様が育児休職から復帰されてから、同じように毎月1万円、ボーナスから10万円を貯蓄していけばよいでしょう。

岩本さんはお子様をもうひとりご希望とのこと。出産・育児で休職中は基本的に収入がありませんから、その間の貯蓄はお休みして構いません。復職後、余裕がでてからボーナスなどで補えばいいのです。なお、勤務先からの給与がなくても、その間に受け取れる手当があります。産休中は、健康保険から「出産手当金」として給料の3分の2が、育児休職期間中は雇用保険から「育児休業給付金」として給料の4割(※1)を受け取れます。いずれも、一定の条件を満たす必要がありますが、岩本さんはどちらも受け取れるでしょう。休職しても給与の半分相当額が受け取れると考えれば、家計への影響はそれほど大きくありません。

なお、ご両親の介護のことも心配されていますね。ご両親の健康状態が思わしくないのでしょうか。そうでないなら、まだそこまで考えなくても良いと私は思います。いまは、ご自身の家庭の基盤をしっかりとつくる時期です。万一の場合は、経済的な援助ではなく、岩本さんまたはご主人が介護休職して(※2)援助する、という方法もあります。ご自分だけで全部背負わずとも、社会保障制度や家族の手も借りて多くの人で支えることができますよ。

※1 2010年3月31日までに育児休業開始なら、給料の5割を給付。
※2 介護休職中は、雇用保険から「介護休業給付金」として給与の4割相当が受け取れる(一定条件あり)。

住宅ローンの繰上返済は急がず、共働きが軌道にのってからで十分

住宅ローンの繰上返済では、最低でも生活費3ヶ月分程度の貯蓄を残しておきます。病気、事故、災害などの不測の事態が起こった時に、貯蓄がなくては対応できないからです。さらに、お子様の教育費、家の修繕費など将来使う分も、別にして残しておきます。ですから、岩本さんの場合、生活費予備費に120万円、家修繕費70万円、教育貯金50万円を残して、最大700万円程度まで繰上返済に充てることは可能です。しかし、実際ここまで繰上返済にあててしまうと、気持ちに余裕がなくなってしまうでしょう

今回、岩本さんにご提案したいのは、いまは繰上返済をせず、おふたり目のお子さんの育児休職から復帰後、共働きが軌道に乗ってから200〜300万円を返済することです。その方が、将来の収入の見込が立てやすく、貯蓄が少々減っても不安に感じることはありません。収入の変動があるときは手元に貯蓄があった方が心強いものです。

2010年には当初5年固定の金利が見直されます。ここでローン金利が上昇したとしても、繰上返済すれば元金が減り、返済額アップの影響を抑えられます。下の表は、見直し後の金利ごとにいくら繰上返済をすると、毎月の返済額がどのくらいになるかを計算したものです(返済期間は短縮せず)。色付の部分は、返済額が現在の年収の20%以内に抑えられるケースです。ふつう、年収の20〜25%に返済額を抑えるのが目安、と言われていますので、200〜300万円を返済にあてれば安心でしょう。

なお、現在は、ほとんどを普通預金にしていらっしゃいますが、このうち一部を少しずつ投資にまわすことも検討しましょう。投資信託なら1万円程度の少額から始められます。投資には値下がりのリスクもありますが、10年、20年などの長期で考えれば資産を殖やすことが期待できます。

表)金利見直し後の返済額(月額)

  繰上金額(繰上直後の借入残高)
繰上返済ナシ
(1,800万円)
100万円繰上
(1,700万円)
200万円繰上
(1,600万円)
300万円繰上
(1,500万円)
見直し後の金利 3% 109,000 103,000 97,000 91,000
4% 118,000 112,000 105,000 99,000
5% 128,000 121,000 114,000 107,000
6% 139,000 131,000 123,000 115,000
7% 149,000 141,000 133,000 124,000
8% 160,000 151,000 142,000 133,000

※色付セルは、年間返済額が年収20%以内のもの。
※完済時期2028年10月は変更しないものとする。

現在の保障で過不足はありません。保険契約更新時に保険金額の見直しを

ご主人は3,000万円の死亡保障、入院1日あたり3,000円の入院給付金が受け取れる定期付終身保険に加入されています。今のところ保障内容はこれで十分だと思います。ただし、ご主人が契約の更新を迎える時には契約内容を見直すことをお勧めします。このとき必要な保障額は少なくなっていると思われるからです。同じ保険金額で契約を更新すると、ご主人の年齢が当初の契約時より上がっているため、保険料はアップします。

更新時、お子様は16歳。お子様の成長に伴い、必要な死亡保障額は低くなります(ふたり目のお子様がいれば、ふたり目のお子様が成人するまでを考えます)。さらに、奥様の収入と貯蓄額も増えているでしょうから、これを差し引いた保険金額は3,000万円より少なくなるはずです。保険金額を減らして契約すれば、保険料のアップ幅を抑えられます。ただし、保険会社により最低いくら以上という保険金額が決まっています。奥様の保険も同じように考えてください。

なお、岩本さんはこの他にも、ガン保険、交通災害共済に加入されています。ガン保険はガンのみを対象としており、ガン以外の病気での入院は対象外です(特約として付加できる保険もあります)。交通災害共済は、交通事故や交通機関によるケガを対象としたもので、病気は対象になりません。それぞれの保険がどんな病気やケガを対象にしているのかをあらかじめ確認しておくと、いざというとき、迷わずに保険金の請求ができますよ。

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