家計診断Q&A

家計診断Q&A
今回のご相談テーマ
 

マンションから家賃収入を得た場合、
給与所得と合算して税金がかかるのでしょうか?

 
今回、回答いただく先生は

山根 克規先生
(やまね かつのり)
プロフィール
アドバイスのポイント
  • 給与所得と不動産所得を合算して課税所得を計算
  • 不動産所得がマイナスであれば、給与所得から差し引きできる
  • 年末調整ではなく確定申告が必要

寺田義人さん(仮名)のご相談

私は8年前にマンションを購入し、現在はローン期間13年、残高1300万になりましたが、来年には一括で返済する予定です。
マンションのローンの完済後は貯蓄に励み、今から4年後にはローンを組んで一軒家を購入する予定です。その際は現在のマンションは賃貸にだし、家賃収入を得ようと考えています(マンションと購入予定の家の名義は私です)。

そこでご相談ですが、ローンのなくなったマンションからの家賃収入は一時所得とみなされ、私の給与に合算されて税金がひかれるのでしょうか?
それとも、私名義の全不動産(マンションと購入予定の家)に対して税金がかかるのでしょうか(家賃収入と家のローンを差し引いて税金がかけられるのか)?

どうぞよろしくお願いたします。

寺田さんのプロフィール

38歳、会社員。33 歳、専業主婦の妻と長女(2歳)との3人暮らし。
世帯年収:1400万円
住居: 持ち家(ローン返済中)

「給与所得」「不動産所得」を別々に計算し、
合算した「総所得額」から「課税所得」を計算します

10種類に分けられる所得

個人の所得には基本的に所得税が課税されます。
所得税は1年間(1月1日から12月31日まで)の所得に対して課税するわけですが、この対象となる所得はその性質から10種類に分けられています。
その所得の種類毎に計算した金額を合算して、所得税が計算されることになります。

今回のご質問ですが、所得の種類で言うところの「給与所得」と「不動産所得」が関係してきます。
これら「給与所得」と「不動産所得」の関係ですが、ご質問にもあるように「合算」して、所得税を計算することとなります。

ですから、まずはそれぞれのルールに従って計算した「所得」を計算し、その後にそれぞれを合算することになります。
その際に不動産所得がマイナスであれば、給与所得から差し引くことになります。
ちなみにマイナスの場合に他の所得と相殺できるのは不動産所得のほか、事業所得、譲渡所得、山林所得の合わせて4種類です。

では「給与所得」の計算ルールですが、こちらは給与の支払い総額から、それに応じた「給与所得控除」を差し引きます。これは自営業者の経費に見合ったもので、いくらの収入に対していくらということが決まっています。
さらに特別な支出がある場合は「給与所得者の特定支出控除」というものがあります。

これは通勤費や研修費などが多額にかかっている場合に適用されるものですが、あまり該当するケースはありません。
以上で「給与所得」が算出されます。

不動産所得の収入と経費の範囲

続いて不動産所得ですが、これは不動産を貸し付けたことにより発生する所得のことで、「総収入金額−必要経費=不動産所得」となります。

総収入金額には、資産貸付けの賃貸料収入のほかに、次のようなものも含まれます。

  1. 名義書換料、承諾料、頭金などの名目で受領するもの
  2. 敷金や保証金などのうち、返還を要しないもの
  3. 共益費などの名目で受け取る電気代、水道代や掃除代など

必要経費となるものは、不動産収入を得るために必要な費用で、主なものとして次のようなものがあります。

  1. 賃貸住宅の固定資産税
  2. 賃貸住宅に係る損害保険料
  3. 賃貸住宅の減価償却費
  4. 賃貸住宅の修繕費

これで計算された「不動産所得」を「給与所得」と合算することになります。
合算した金額を「総所得金額」といいます

課税所得の計算と納税

つぎに「総所得金額」から差し引くものがあります。
それが「所得控除」といわれるもので、社会保険料や一定金額以上の医療費、一定額の生命保険料や損害保険料、そして配偶者控除や扶養控除、すべての方が対象となる基礎控除などがあります。
総所得金額から所得控除を差し引いて計算したものを「課税所得」と呼び、その金額に応じて税率をかけて算出したものが「所得税額」となります。

さらに配当所得(計算に基づき税額控除を受けることができます−配当控除)や一定の住宅ローンがある場合には、この「所得税額」から「税額控除」として一定の計算に基づき、差し引くことが可能です。

このようにして所得税が計算されるわけですが、これらの計算を自分自身で行ない、「確定申告」をすることが必要となってきます。
確定申告は1年間(1月1日から12月31日)の所得税を翌年の2月16日から3月15日の間に申告納税するものです。
通常、サラリーマンや公務員の場合は、所属する会社や団体などが全て計算して、確定申告の代わりに「年末調整」という形で精算しています。
ですからなじみが無く、ご面倒だと思いますが、これをしないわけにはいきません。

確定申告の時期になりましたら、各地の税務署が相談窓口を設け、そこに税理士を配して一般の方の相談を受け付けていますので、そちらを利用しても良いでしょう。

なお寺田さんは、ご自身が生活する自宅不動産と、貸付不動産の2つを所有することになるわけですが、どちらにも固定資産税が課税されます
これは地方自治体が計算し課税してくるものですから、ご自身で計算する必要はありません。
ただし不動産所得を計算する上では経費の対象ですから、お忘れなく。

ちなみにご質問にある「一時所得」とは先ほどお話しました、10種類の所得の1つで、保険の満期金や競馬などの払戻金など一時的に発生する所得のことで、継続的に発生する不動産所得とは根本的に性質が異なります。

一般的にサラリーマンなどの場合、会社が全ての手続きを行なうため、税金に対する関心がどうしても薄くなりがちです。しかしこれから益々増税が叫ばれる中、一人一人が税に対して関心を高めることが、結果的に個人個人の生活を守ることにも繋がると思います。 ぜひこれを機会に税金について色々と知っていただき、より関心を高めていただければ幸いに存じます。

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