家計診断Q&A

家計診断Q&A
今回のご相談テーマ
 

若いうちにローンを組むのが良いのか
将来親と同居のタイミングで家を買うのが良いか?

 
今回、回答いただく先生は

山田 静江先生
(やまだ しずえ)
プロフィール
アドバイスのポイント
  • ライフプランを考えると、家族の生活スタイルが固まってからがベスト。
  • 家賃補助があるので、住宅取得時期をなるべく遅らせた方が、十分な資金準備ができる。
  • 将来の同居を考えているなら、10年後くらいをメドに、二世帯住宅を建てる手も。

千田 隆太さん(仮名)のご相談

結婚するにあたりライフプランをどのように考えていけばよいか検討しております。 悩んでいることは「持ち家をどのタイミングで購入すべきか」ということです。というのも今後、消費税があがることが予想され、また若いうちに住宅ローンを組んでおけば楽だと聞いており、いまのうちに購入すべきかと思うのですが、妻は将来親と同居したいと話しています。同居するには同居用の家を将来購入することとなります。将来とは10〜15年後ぐらいを想定しております。

やはり消費税や金利の上昇などをあまり考えずに、いまは賃貸でお金をためていくべきなのでしょうか。それとも親との同居もどうなるかわからない将来はさておいて、若いいま購入した方がいいのでしょうか。

現在の家計状況とライフプランは以下のとおりです。
(1)現在の年収は手取432万円、40歳で774万円(額面約1000万円)
(2)貯蓄は1500万円ほど。そのうち住宅財形が400万円。
(3)子供は将来二人を希望。
(4)妻は専業主婦を希望
(5)賃貸だと会社から月額7万円が支給される(45歳まで)。
(6)現在、購入するとしたら3000万から4000万ほどのマンションを想定(千葉)。
(7)賃貸であれば、月額家賃11万円ぐらいを想定。

千田さんのプロフィール

30歳、会社員。30歳、専業主婦の妻と2人暮らし。
世帯年収:450万円
住居: 親と同居
詳しい家計状況(新しいウィンドウ)

購入時期を遅らせて自己資金を貯める方が
消費税や建築コストのアップ分を超えたメリットが

ご結婚おめでとうございます。新しい生活を始めるにあたって、ライフプラン・マネープランを検討することは、夢を実現するにあたって大きな失敗を防ぐことになります。お二人で力を合わせて、ベストな選択を探してください。

1.現在の家計とマイホーム取得時

独身時代からきっちり家計管理をされていて、貯蓄も十分あります。結婚後も年間100万円を超える貯蓄が可能です。天引き貯蓄を継続されていることや、レジャー費を年間で予算立てしているなど、「貯める」と「使う」のメリハリを付けている点も評価できます。

住宅取得については、3,000万〜4,000万円のマンションでしたら、今すぐにマイホームを取得することもできます。勤務されている会社では、40歳くらいまでは手取収入が年率6%くらいの高率で増えていく予定で、今のような堅実な家計管理ができれば、お子さんにある程度お金をかけても、教育資金も老後資金も準備できるものと思われます。とはいえ、今すぐマイホームを取得するのがベストとはいえないでしょう。理由のひとつは、結婚したばかりで生活パターンや家族構成が決まっていないからです。マイホームについては、物件そのものの善し悪しだけで、住みやすさが決まるわけではありません。お子様が男女それぞれ何人いるか、生活していく上で重視する項目は何か、なども考慮して選ぶべきでしょう。

ですから、結婚後数年生活して落ち着いてから、あるいはお子様の人数がある程度定まってから、家族のニーズにあったマイホームを選ぶのがいいと思います。

もうひとつの理由は、賃貸なら手厚い家賃補助が受けられるので、購入時期を遅らせた方が、資金面でも有利だからです。来年マンションを購入した場合と、10年後に二世帯住宅を建てる場合の家計の違いを見てみましょう。前提条件は、以下の通りです。
(1)40歳までは手取り収入が年率6%、40歳以降50歳までは年率3%で増えていく。
(2)基本生活費は年率2%上昇、ただし、長子が中学生になった年に20%アップし、またマンション購入時に10%、一戸建て購入時には20%アップすると仮定
(3)子ども費は、幼稚園は私立に3年間通い、小学校・中学校は公立だったときの、平均的な費用を計上。
(4)貯蓄残高の運用利率は0.5%
(5)どちらのケースも60歳くらいまでにローン返済が終わるように借入期間を設定。ローン金利は、来年買う場合には3.0%、10年後に買う場合には3.5%とする。

2.すぐにマンションを購入した場合(表1:シミュレーションA

来年、3,000万円台後半の物件を、自己資金1,000円と住宅ローン3,000万円(3%、30年)で購入した場合、税金や管理費などを含めた住宅にかかる費用は、賃貸の場合と比べて年間約60万円増える一方、家賃補助(年間80万円)がなくなるため、家計は厳しくなります。住宅取得補助金(年間30万円×3年間)があるため、自動車購入などの大型出費がある年を除けば赤字になることはありませんが、9年目までは思ったように貯蓄できない状態が続きます。シミュレーションAによれば、マンションを買っても10年後には約1,200万円、15年後には約2500万円貯蓄が増えています。しかしその頃に親と同居ということになれば、より広いマンションや一戸建てへの住み替えが必要になるので、新たに自己資金を投入しローンを借入れることになります。仮に4、000万円台後半の家を買うなら、「自己資金1,000万円+ローン4000万円」、あるいは「自己資金2,000万円+ローン3,000万円」となり、どちらにしても、貯蓄は一挙に減り、その後のローン返済も増えてしまいます。なお、住み替え前のマンションを売却した資金は、ローンの残債を返済するとほとんど残らないものと覚悟しておきましょう。

3.10年後に一戸建てを購入した場合(表2:シミュレーションB

それでは、お子様が小さいうちは賃貸に住み、10年後をめどに二世帯住宅を建てた場合はどうでしょうか。シミュレーションBによると、家賃補助があることと、もともと住宅費の負担が少ないおかげで、3年目から年間200万円以上の貯蓄が可能です(3年目は収支2万円だが、それは200万円の自動車を購入したため)。ハイペースで貯蓄できるので、9年後の貯蓄残高は4,396万円になります。十分な貯蓄があるのでいろいろな選択肢がありますが、仮に10年目に、自己資金4,000万円とローン2,000万円(3.5%、20年)で、5,000万円台後半の予算で二世帯住宅を建てたとしても、800万円の貯蓄が残り、しかも住宅ローンの借入額が少ないのでその後も順調に貯蓄を増やしたり、子どもの教育にお金をかけたりすることができます。

4.結論

消費税が上がることを心配されているようですが、土地部分については、消費税は非課税です。もちろん建築コスト上昇の心配はありますが、シミュレーションを比べると、購入時期を遅らせることで、消費税アップやコスト増を吸収できるくらい資金に余裕ができることがわかります。また、なぜ若いときにローンを借りた方が楽かというと、(1)家賃負担がなくなること、(2)同じ金額を借りて退職までに返済を終わらせる場合に、設定できる期間が長くなるので毎年の返済額を少なくできる、というメリットがあるからです。しかし、千田様の場合は、家賃補助があり、また購入を遅らせることで自己資金が増えてローン借入額を少なくできるので、上記のメリットはあてはまりません。親との同居はまだ決まっていないことで、これから時間をかけて考えればいいと思います。その問題を別にしても、もう少し時間を置いてからマイホームを購入された方が、その後の家計運営が楽になることは間違いないでしょう。

 

Copyright(C) NTT IF Corporation All Rights Reserved.