家計診断Q&A

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住宅資金・返済
山下さん顔写真 FP:山下和之

長らくマイホーム関連の不動産会社、金融機関、そして実際にマイホームを買われた一般の方々など、多方面の取材に携わってきた経験を生かして本音でお答えします。効率的なマイホームの頭金づくりから、ローン破綻に陥らないローンの組み方、少しでもトクする返済方法まで何でもご質問ください。

■ご相談者
相談者(仮名)
富谷洋子さん
38歳 専業主婦。会社員の夫(38歳)と長男(10歳)、次男(8歳)の4人家族。現在は都内の分譲マンションに居住。年収/650 万円
返済額のUPと年収減のダブルパンチ 借り換えでローン返済額を減らしたいのですが
5年前に新築マンションを買いました。当時はまだ会社の業績も順調で、収入も年々アップしていたので、ゆとり返済を利用しました。この5月から毎月の返済額が2万円以上増えてしまいます。けれども、業績悪化から5年前には700万円を超えていた夫の年収がいまは650万円。反対に子どもの食費や教育費はふくらんでいるし、このままでは貯蓄する余裕がなくなり、早晩貯金を切り崩すことになりそうです。借り換えでローン返済額を減らすことはできないでしょうか。ただし、ローンは担保割れになっています。


・家計状況
 月間支出 計 540,000 円
 ローン返済 100,000 円
※ただし5月から約13万円
  にアップ
 教育費 50,000 円
 管理費・修繕積立金 30,000 円  教養・娯楽費・小遣いなど 100,000 円
 食費・被服費などの生活費 130,000 円  各種保険料 30,000 円
 水道光熱・通信費など 60,000 円  貯蓄 40,000 円
 現在の貯蓄高 計 3,000,000 円
 普通預金 1,000,000 円  定期預金 2,000,000 円

■アドバイス
担保われでも低金利で借りられる「借り換え専用ローン」審査はいくぶん厳しいものの、返済は楽になります

担保割れになっていても、金融機関は住宅ローンの獲得に力を入れていますから、十分借り換えできる可能性があります。変動金利型への借り換えならこのまま6年目を迎えるのに比べると毎月1万円以上負担を軽くできます。金融機関によっては給与振込、公共料金引き落としなどの一定の条件を満たす人に対しては、キャンペーン金利として金利の優遇を実施しているところもあります。そうしたローンに借り換えできれば、返済額をもう一段減らすこともできるでしょう。

ゆとり返済というのは、当初の返済額を少なくして、その後返済額を増やすという仕組みです。高度成長期の毎年収入がアップする時代なら良かったのですが、簡単には収入が増えない時代にはそぐいません。このため今はゆとり返済の制度は廃止されています。とはいえ富谷さんのように以前ゆとり返済を利用して購入したものの、6年目を迎えて返済額が大幅にアップ、返済に窮している人が多いのも事実です。このため、公庫では返済期間を延長するなどの救済策を実施しています。富谷さんのように、家計のやり繰りや借り換えなどで何とかなりそうな人はいいのですが、どうにも返済に行き詰まりそうだという人は、いますぐにも窓口になっている銀行で相談してください。

さて富谷さんの借り換えです。5年前に4000万円で買ったマンションが、現在の売却可能価格は2500万円。一方、ローン残高は5年経過後もまだ2870万円強残っています。ローン残高が評価額(売却可能価格)を上回る、いわゆる“担保割れ”の状態に陥っています。通常、金融機関では担保評価額の8割から9割程度までしか融資しません。ですから、担保割れのケースでは借り換えは難しいのですが、最近は「借り換え専用ローン」があって、一定の条件を満たす人に対しては「評価額+1000万円」まで借り換えOKになっています。金融機関によっては「評価額の2倍まで」というケースもあります。富谷さんの場合も十分借り換えは可能です。

ただし審査条件は一般の住宅ローンより厳しくなります。たとえば、勤続年数5年以上(通常は3年以上)、ローン借入後3〜5年が経過し、その間延滞がないこと、借り換え後の年間の返済額が年収の25%以内であること……などとなっています。金融機関によって条件は若干異なりますから、一つの金融機関だけではなく、いくつか調べて自分たちが利用できそうなところを見つけてください。

現在の銀行ローンの金利は変動金利型で2.375 %です。借り換えには抵当権の設定や保証料などが必要になり、概算では1000万円当たり20万円ほどかかります。その分を含めて借り換えるとすれば、下にあるように毎月の返済額は11万円台になります。現在よりは返済額は増えますが、借り換えしないで返済額が増えるのに比べると1万円以上減らすことができるのです。もちろん、変動金利型は市中の金利が上がれば将来の返済額が増える可能性があります。そのため本来は固定金利期間の長い固定金利選択型10年ものなどを利用するのが安心なのですが、変動金利型に比べると金利が高いため、富谷さんの場合には返済額がむしろ増えてしまいます。なお、現在は各種のキャンペーンとして金利優遇を実施している金融機関が増えています。たとえば、東京三菱銀行は固定金利選択型3年ものの金利が1.0 %。これを利用できれば、毎月返済額は9万5000円ほどにダウンします。生活はかなりラクになるはずです。給与振込、公共料金引き落としなど一定の条件を満たす必要がありますが、決して難しい条件ではないので、いろんな金融機関を回って調べてみるのがいいでしょう。

富谷さんの借り換えはこうなる

・マンション購入時の資金計画
 購入価格4000万円 自己資金1000万円

融資の種類 借入額 金利 返済方法
当初5 年間
毎月返済額
6 年目以降
毎月返済額
 公庫基本融資 1570万円  3.10% 35年ゆとり
5万1513円 6万4009円
 公庫特別加算 630万円  3.60% 35年ゆとり
2万2654円 2万7522円
 年金一般融資 800万円 3.59% 35年ステップ
2万8716円 3万4901円
 合計 3000万円 --- ---
10万2883円 12万6432円

・満5 年後の今年5 月のローン残高
融資の種類 残高
 公庫基本融資 1498万9972円
 公庫特別加算 605万3557円
 年金一般融資 768万6134円
 合計 2872万9663円

・銀行ローンに借り換えた場合

1.変動金利型

融資の種類 借入額 金利 返済方法 毎月返済額
 銀行ローン 2960万円 2.375 % 30年 11万5041円

2.固定金利選択型10年もの
融資の種類 借入額 金利 返済方法 毎月返済額
 銀行ローン 2960万円 3.45 % 30年 13万2092円

金利1%の固定金利選択型3年もの
融資の種類 借入額 金利 返済方法 毎月返済額
 銀行ローン 2960万円 1.0 % 30年 9万5205円



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