家計診断Q&A

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住宅資金・返済
山下さん顔写真 FP:山下和之

長らくマイホーム関連の不動産会社、金融機関、そして実際にマイホームを買われた一般の方々など、多方面の取材に携わってきた経験を生かして本音でお答えします。効率的なマイホームの頭金づくりから、ローン破綻に陥らないローンの組み方、少しでもトクする返済方法まで何でもご質問ください。

■ご相談者
相談者(仮名)
倉本 秀夫さん
32歳。会社員で家族は専業主婦の妻とお子さん1人。年収約500万円
都市銀行の超破格の1%住宅ローン、全額借り入れても大丈夫でしょうか
子どもが再来年の春には小学校に入ることになるので、それまでにマンションを買おうと親に相談、500 万円援助して貰えることになりました。私たちの貯蓄と合わせて自己資金が1000万円になるので、これなら何とかなりそうとマンションを探し始めました。何件か回って気に入った物件が見つかったので、ローンの相談をしたところ、住宅金融公庫や年金融資を利用するのが普通だが、最近は銀行に金利1%のローンもあると聞きました。金利1%のローンなら、年収が500 万円の私でも返済負担率(年収に占める年間返済額の割合)は20%以下。これなら楽勝という気がします。ただ、3年固定型なので、4年目以降返済額が増える可能性があるのが心配です。全額1%のローンを利用してしまっていいものでしょうか。


・家計状況
 月間収入 計 420,000 円
 家賃(社宅) 50,000 円  小遣いなど 50,000 円
 食費・衣服費などの生活費 110,000 円  レジャー 30,000 円
 水道光熱・通信費など 30,000 円  各保険料種 30,000 円
 教育費 20,000 円  貯蓄 100,000 円

・現在の貯蓄高 500万円
■アドバイス
今なら基準金利が低い公庫融資と組み合わせて金利上昇時のリスクを分散しておきましょう

倉本さんのご計画では3500万円の新築マンションを、親御さんからの援助を含めて700万円の頭金、2800万円のローンでご購入のご予定のようです。手元に300万円残るので、ローン関係の費用や税金などの諸費用を差し引いても、計画そのものはまず問題はないと思います。

でも、全額1%のローンにするというのはどうでしょうか。結論からいえば、お勧めはできません。失礼ながらもっと年収があって、多少金利が上がっても金利上昇リスクを十分にカバーできるレベルであればいいのですが、倉本さんの場合にはリスクが高すぎるように思われるからからです。

3年間は1%。4年目以降の金利は?

現在都市銀行が扱っている金利1%のローンというのは、「固定金利選択型3年もの」と呼ばれる金利タイプのローン商品です。通常は2%台の金利ですが、キャンペーンとして特別に金利を低くして住宅ローン販売促進の目玉にしているのです。3年間は金利1%であることは間違いないのですが、4年目に入ったときには、そのときの金利が適用されることになります。金利が上がった場合には当然のことながら、返済額もアップします。
4年目以降、一定の優遇金利制度が実施されているようですが、それでも優遇金利幅は当初0.1%で、最大でも0.4%。金利上昇幅が大きいとそうした優遇金利制度の効果もさほど期待できません。

実際に、金利が2%になると、返済額も当初の8万円弱が9万円台になります。返済負担率も現在の18.9%から22.0%にアップします。3%になると10万円台で、返済負担率は25.3%です。この程度なら家賃5万円を支払った上で10万円の貯蓄をしてきた倉本さんの家計なら、十分許容範囲かもしれません。でも、もっと上がる可能性だってあるのです。金利5%だと毎月13万円台で、返済負担率は32.6%、6%だと15万円台で36.5%に達してしまいます。今後のための貯蓄もまったくできないカツカツの状態になります。しかも、お子様の教育費などがふくらんでくるのですから、住宅ローンで家計破綻に追い込まれてしまう可能性もあります。

そんなに金利が上がるハズはない−−とお考えの人もいるでしょうが、そう断定できるでしょうか。実際、バブル期には銀行ローンの金利は8%まで上がったことがあるのですから、決してあり得ないことではありません。とはいえ、年収が1000万円近くある人なら、この増額幅はさほど生活に大きな影響のない範囲かもしれません。金利上昇リスクを承知で、超低金利のローンの利用するのも一つの考え方ですが、倉本さんの条件ならもう少し安全な資金計画を立てるほうがいいと思います。そこで、こう提案させていただきたい思います。

10年間 2.55%、11年目以降も3.5%の金融公庫 1%ローンと組み合わせてリスクをヘッジ

倉本さんが購入を考えておられるマンションの場合には、公庫融資を一番金利が低い基準金利で2270万円まで利用できます。年利2.55%で10年間は変わらない固定金利型で、11年目以降も3.5%ですから、まずは安心できます。これに通常は年金の一般融資などを組み合わせて必要な資金を調達しますが、残りの530万円を年利1%の銀行ローンを利用するようにしてはどうでしょうか。500万円前後までの利用であれば、将来金利が大幅にアップしたときにも、返済額の増額幅はさほど大きなものとはなりません。1%上がっても月額2500円ほどで、返済計画に支障が出るようなことはないでしょう。

より安全な長期間の固定金利型で金利の低いローンをメインにしながら、安全を確保しながら、一方で超低金利ローンのメリットも一部享受できるわけです。もちろん、それでも4年目以降返済額が増える可能性は高いのですから、当初の返済額の少ないうちにセッセと貯蓄額を増やして、4年目以降に備えるようにすべきであるのはいうまでもありません。

倉本さんのマンション購入計画

・購入希望物件/千葉県市川市の専有面積100 m2の新築マンション、価格3500万円
・資金計画/自己資金 700万円 ローン2800万円


返済計画例

1.当初3年間、年利 1%のローンで返済
  ・購入価格 3500万円 自己資金700万円
融資の種類 借入額 金利 返済方法 毎月返済額
 銀行ローン 2800万円   1.00% 35年ボーナス返済なし 7万9039円

→ 4年後の金利で毎月返済額はこう変わる
金利 毎月返済額 年間返済額 返済負担率
 1.0% 7万9039円 94万8468円 18.9%
 2.0% 9万1601円 109万9212円 22.0%
 3.0% 10万5266円 126万3192円 25.3%
 4.0% 11万9980円 143万9760円 28.8%
 5.0% 13万5670円 162万8040円 32.6%
 6.0% 15万2253円 182万7036円 36.5%

2.より安全な資金計画
  ・購入価格 3500万円 自己資金700万円
融資の種類 借入額 金利 返済方法 毎月返済額
 公庫基本融資 2270万円   2.55% 35年ボーナス返済なし 8万1761円
 銀行ローン 530万円 1.00% 35年ボーナス返済なし 1万4961円
 合計 2800万円 -- -- 9万6722円

銀行ローンの金利変動による支払額の変化
金利 毎月返済額 年間返済額 返済負担率
 1.0% 9万6722円 116万0664円 23.2%
 2.0% 9万9099円 118万9188円 23.7%
 3.0% 10万1686円 122万0232円 24.4%
 4.0% 10万4471円 125万3652円 25.1%
 5.0% 10万7441円 128万9292円 25.8%
 6.0% 11万0580円 132万6960円 26.5%



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