家計診断Q&A

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住宅資金・返済
山下さん顔写真 FP:山下和之

長らくマイホーム関連の不動産会社、金融機関、そして実際にマイホームを買われた一般の方々など、多方面の取材に携わってきた経験を生かして本音でお答えします。効率的なマイホームの頭金づくりから、ローン破綻に陥らないローンの組み方、少しでもトクする返済方法まで何でもご質問ください。

■ご相談者
相談者(仮名)
三崎 信一さん
48歳会社員で年収約850万円。専業主婦の奥さま(49歳)と21歳・19歳の息子さん(共に学生)の4人家族
48歳でマイホーム購入予定、さほど期間がない定年までのローン、注意点を教えてください
社宅住まいの48歳ですが、1500万円ほどの頭金ができたので、一戸建てを購入する計画です。土地・建物で合計4000万円を予定していて、借入額は2500万円の予定です。会社には財形融資制度(年利1.62%の5年固定金利)がありますが、あと12年という勤続年数を考えると少し不安が残ります。定年後も働きたいと思っていますが、収入は格段に減少すると思います。どんな資金計画で購入するのがいいでしょうか。

 三崎さんの相談のポイント
  • 勤続年数が残り12年だが財形融資を利用してもいいか
  • 年齢を考えた場合、何年返済まで利用していいか
  • 固定金利型、変動金利型のどちらがいいか
■アドバイス
現在の年齢や今後の収入などを考えればできるだけ期間の長い固定金利型が安全

金利の低いローンにはリスクがつきもの

現在の住宅ローン金利をみると、固定期間選択型3年ものだと優遇金利で1%前後の金利で利用できます。変動金利型でも店頭表示2.375%が、優遇金利によって0.7%~1.0%ほど低く金利だけをみれば、こうした商品が有利ですが、その分金利上昇によるリスクが大きくなります。仮に、2500万円、金利1%の3年固定型を利用すると当初3年間の毎月返済額(ボーナス返済なし)は、11万4973円になります。下にあるように長期固定金利型のローンだと、13万円前後の返済額になりますから、断然有利であることは間違いありません。しかし、金利上昇リスクがそれだけ大きくなります。3年後の金利が現在と同じでも、優遇金利がなくなって年利2.25%が適用され、返済額は12万7288円に増えます。仮に1%アップして3.25%になれば13万7703円、2%上がれば14万8609円です。過去の金利の推移をみると3年間で3%程度上がった時期もありましたから、その可能性が決してないとはいえません。

最低でも10年間以上の長期固定金利型

こうしたリスクを考えると、最低でも10年間以上の固定金利型が安心です。失礼ですが、48歳だと今後の収入アップもさほど期待できないでしょう。会社によって出向などの可能性もあり、50歳代に入れば、むしろ収入がダウンするケースもあるようです。そうした事情を考慮すれば、なおさら固定金利型にこだわるべきではないかと思います。理想でいえば完済まで金利が変わらない完全な固定金利型ですが、これだとどうしても2%台後半以上の金利になってしまいます。ギリギリ固定期間10年なら、一部都市銀行で2.20%のローンかありますから、こちらでもいいかもしれません。11年目に金利が上がる可能性がありますが、三崎さんの場合には年齢的に20年までの返済期間にするべきですから、その返済期間の半分が固定できれば、さほどのリスクはないと思います。

老後に備えて退職金をできるだけ温存する

具体的にシミュレーションしてみましょう。まず一番安全なのは、完済までまったく金利が変わらない固定金利型です(1)。住宅金融公庫の債権買取型の新型ローンでは、みずほ銀行が2.87%の金利を打ち出しています。これなら、金利の上昇を気にせず、安心して生活できます。ボーナス返済なしの毎月返済額は13万円台です。12年後の残高は約1174万円ですから、退職金で一括返済することもできそうです。定年後5年程度再雇用などの形で働けるとして、その間は通常通りローンを返済していけば、17年後の残高が約472万円に減少します。これなら、退職金の大半を温存できそうです。

10年間固定金利型なら12万円台の返済額に

これに対して、固定期間選択型10年もので、年利2.20%の優遇金利を利用できれば、毎月返済額は12万円台にダウンします(2)。ただし、11年目以降の返済額は増額になる可能性がありますし、ローン残高も下にある金額より多くなってしまうかもしれません。しかし、三崎さんの場合には、現在2人のお子様が大学在学中で、間もなくその教育費負担がなくなりますから、返済額が若干増えても、十分にカバーできるはずです。11年後の増額のリスクがあるにしても、金利2%台前半で10年間固定できるローンには捨てがたいものがあります。

財形融資は6年後の返済額増額に要注意

財形融資の金利は1.62%ですから、こちらも魅力的な金利で、当初5年の返済額は12万円台前半になります(3)。しかし、5年固定金利型なので、6年目以降の返済額がアップする可能性があります。増額の場合でも増額幅は50%までという縛りがありますが、逆にいえば5割まで返済額が増える可能性があるということになります。金融機関や会社の規定にもよりますが、定年退職するときには一括返済が求められるかもしれません。その場合でも金利に大きな動きがないとすれば、12年後の残高は1098万円ですから、1900万円ほどの退職金が見込める三崎さんならほぼ問題はないとは思いますが、退職金の半分以上を持っていかれては、将来の生活資金がちょっと心配になります。

ローンの組み合わせでリスクを少なくする

そこで金利は低いけれどリスクの大きいローンを10年程度で利用し、比較的リスクの小さい固定期間の長いものと組み合わせる方法も考えられます。下にあるように、財形融資を1000万円、期間10年で利用し、銀行ローンで1500万円を20年返済で利用する形にすると、毎月返済額は16万円台になります(4)。年収850万円で、あと数年で教育費負担の終わる三崎さんなら十分返済できる範囲ではないでしょうか。これだと、10年後の返済額は7万円台に減らすことができます。しかも、ローン残高の減り方も早いので、退職金の温存にもメリットがありそうです。以上のような各種の試算をリスクの有無、金利の低さなどの点から比較検討すると、(2)か(4)がお勧めで、とにかく安全性を重視なら(4)の選択になりそうです。それに対して、(3)はややリスクが大きいという気がします。


!三崎さんのマイホーム購入計画

物件概要 土地面積約152m2、建物面積約132m2
購入価格 土地1630万円、建物2370万円、合計4000万円
資金計画 自己資金1500万円、ローン借入額2500万円

!ローン計画の例

条件 借入額 金利 返済期間 毎月返済額(円) 備考
(1) 新型ローンを20年返済で利用する
2500万円 2.87% 20年 137,280 12年後の残高約1174万円。
退職金で一括返済する
17年後の残高約472万円
(2) 固定期間選択型10年の優遇金利2.20%で、20年返済を利用する
2500万円 2.20% 20年 128,852 12年後の残高約1133万円(10年後の金利が変わらない場合)。
退職金で一括返済する
17年後の残高約448万円(10年後の金利が変わらない場合)
(3) 財形融資を20年返済で利用する
2500万円 1.62% 20年 122,021 12年後の残高約1098万円(6年後の金利が変わらない場合)。
退職金で一括返済する
17年後の残高約428万円(6年後後の金利が変わらない場合)
(4) 財形融資と銀行ローンを組み合わせる
財形 1000万円 1.62% 10年 90,321 12年後の残高約680万円(6年後の金利が変わらない場合)。
退職金で一括返済する
17年後の残高約269万円
銀行 1500万円 2.20% 20年 77,311
合計 2500万円 -- -- 167,632



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