家計診断Q&A

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住宅資金・返済
山下さん顔写真 FP:山下和之

長らくマイホーム関連の不動産会社、金融機関、そして実際にマイホームを買われた一般の方々など、多方面の取材に携わってきた経験を生かして本音でお答えします。効率的なマイホームの頭金づくりから、ローン破綻に陥らないローンの組み方、少しでもトクする返済方法まで何でもご質問ください。

■ご相談者
相談者(仮名)
矢吹 恭子さん
34歳公務員。会社員のご主人(32歳)とのディンクス。年収はご本人590万円、ご主人550万円で、貯蓄は現在1300万円ほど。
土地を買って注文住宅を建てたいと思っています。どんな資金計画で買うのがいいのでしょうか?
現在、私名義の財形貯蓄が1000万円ほど、夫名義の貯蓄が300万円ほどあります。来年6月には合計1600万円ほどになるので、土地を買って家を建てたいと考えています。土地は私名義で財形融資を利用して買い、建築費は銀行ローンなどを利用して調達しようと考えています。その場合、夫婦別々にローンを組むのがいいのでしょうか。資金計画の立て方の基本を教えてください。

 矢吹さんの相談のポイント
  • 土地を財形融資で買ってもいいか
  • 建物建築費は銀行で借りられるか
  • ローンは夫婦別々のほうがいいのか
■アドバイス
現在の年齢や今後の収入などを考えればできるだけ期間の長い固定金利型が安全

共有比率は二人の支払いの比率に近く設定を

まず大前提として確認しておいていただきたいのは、夫婦共働きで購入するときには、土地・建物ともに共有名義で登記するのが得策という点です。それも、貯蓄の名義や年収に応じて共有の持分比率を決めないと、贈与税の対象にされかねません。たとえば5000万円の一戸建てを買うとき、夫婦それぞれの名義の貯蓄が500万円ずつあって、4000万円のローンを組んで買うとします。年収が夫600万円、妻400万円なら、ローンは夫の持分4000万円×6/10=2400万円、妻の持分4000万円×4/10=1600万円となります。合計すると、夫の持分が2900万円、妻が2100万円ということです。夫婦の持分比率はおよそ6対4になります。この比率を大きく逸脱していると夫から妻に、逆に妻から夫に贈与があったとみなされ、贈与税がかかってくる可能性が高いわけです。

建物を所有していないと軽減措置を受けられない

また、将来住まいを売却するようなことがあったときには、「居住用財産の3000万円特別控除」を利用できます。現在は考えにくいのですが、仮に売却して利益が出るような事態になったときには、不動産譲渡所得税の対象になります。その際、建物を共有していれば、夫婦ともにこの特例を利用して合計6000万円まで非課税になるのですが、建物が夫婦どちらかだけの名義だと1人分しか特例を利用できません。逆に損失が出た場合には、「居住用財産の譲渡損失の繰越控除の特例」で最長4年間、所得税・住民税が控除されますが、これも建物を所有していることが前提になります。ですから、土地・建物ともに夫婦の貯蓄や年収に応じて持分比率を決めて、共有名義で登記するようにしてください。

共有名義ならローン控除も二人分

さらに、ローン控除に関しても同様です。土地・建物が共有名義で、ローンが夫婦それぞれの名義、またはどちらかが連帯債務者になっている場合には、夫婦でローン控除の適用を受けることができます。これがどちらかが土地しか持っていないと一人分しか利用できないことになります。矢吹さんご夫婦は、お子様がいらっしゃらず、夫婦ともに年収が500万円を超えていますから、それぞれ年間20万円前後の所得税を支払っているはずです。仮に3500万円のローンをご本人2000万円、ご主人1500万円の借入れとすれば、初年度はご本人20万円、ご主人15万円の合計35万円の控除になります。これがご本人名義だけだとご本人の所得税20万円が上限になってしまいます。たとえば、土地は矢吹さん名義のローンで買って、ご主人が連帯債務者になり、建物はご主人名義のローンで買って妻が連帯債務者になるなどの形が考えられます。

財形融資は土地購入には利用できない

以上の前提でいよいよ資金計画ですが、最初に気をつけておきたいのは、財形融資は土地の融資には利用できないという点です。土地・建物を同時に購入するのならいいのですが、そうでない場合には利用できないのです(公庫融資も同様)。それに、そもそも財形融資は年利1.62%と金利は低いものの、5年後には金利が変わる5年固定金利型です。金利が上昇すれば、返済額は最大5割まで増える可能性があるので、あまりお勧めできません。ですから、まずは民間ローンを利用して土地を購入し、建物は別途民間ローンや住宅金融公庫の融資、公庫の債権買取型の新型ローンなどの固定金利型ローンを利用して購入するのがいいのではないでしょうか。

金利の低さと固定金利の安心感の折衷

ローンの利用に当たっては、将来的に金利が上がったときにも返済額が変わらない、固定金利型を中心にするのが安心です。できれば、すべて完全な固定金利型がいいのですが、それだと、どうしても2%台半ばから後半の金利になってしまいます。そこで、土地に関しては、10年固定金利で金利優遇キャンペーンの2.2%のローンを利用し、建物分を完全な固定金利型で組んでみましょう。最近は、35年間金利が変わらない新型ローンにも2%台半ばの金利が登場しています。全国的に利用できる都市銀行ではみずほ銀行の2.69%がありますし、ノンバンクではグッドローンが2.23%(ただし借入時に借入額の2.1%の手数料が必要)などがあります。ここでは、2.69%のローンを利用して試算しました。土地・建物分合計の毎月返済額は約12万円です。

安全性を最重視するなら完全な固定金利型

住宅ローンでリスクは負いたくないという人は、完全な固定金利型だけに一本化しましょう。土地に関してはいったん土地だけのローンを組んで、建物購入時に土地融資分を一括返済することを前提に、土地・建物の融資を受けます。たとえば、土地価格2500万円のうち、2000万円の融資を受け、建物購入時に3500万円の融資を受けます。融資実行後に2000万円を一括返済して、建物購入時のローンだけに一本化するわけです。このローンを2.69%の新型ローンとすれば、毎月の返済額は13万円弱になります。これをグッドローンの2.23%にすれば、毎月返済額は12万1402円になります。ただし、借入時に3500万円×0.021の73.5万円の手数料がかかります。


!矢吹さんのマイホーム購入計画

購入価格 土地2500万円、建物2500万円、合計5000万円
資金計画 自己資金1600万円、ローン借入額2400万円

!ローン計画の例1

  概要 借入額 金利 返済期間 毎月返済額(円)
(1) 土地の購入時の資金計画
土地価格2500万円 自己資金800万円 1700万円 2.20% 35年 58,075
(2) 建物購入時の資金計画
建物価格2500万円 自己資金800万円 1700万円 2.69% 35年 62,519
土地・建物合計の返済額 120,594

!ローン計画の例2

  概要 借入額 金利 返済期間 毎月返済額(円)
(1) 土地の購入時の資金計画
土地価格2500万円 自己資金500万円 2000万円 2.375% 35年 59,641
(2) 建物購入時の資金計画
土地・建物分を合わせて融資を受ける 3500万円 2.69% 35年 128,715
※土地借入額2000万円を一括返済
※工務店には融資から1500万円、自己資金1000万円の合計2500万円の支払い



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