家計診断Q&A

家計診断Q&A

住宅資金・返済
山下さん顔写真 FP:山下和之

長らくマイホーム関連の不動産会社、金融機関、そして実際にマイホームを買われた一般の方々など、多方面の取材に携わってきた経験を生かして本音でお答えします。効率的なマイホームの頭金づくりから、ローン破綻に陥らないローンの組み方、少しでもトクする返済方法まで何でもご質問ください。

■ご相談者
相談者(仮名)
伏見 康彦さん
48歳公務員。46歳の奥様(パート勤務)、19歳の長男(大学生)、15歳の長女(高校生)、11歳の次男(小学生)の5人家族。年収約700万円。
現在48歳で定年まであと12年、住まいが手狭になってきたので買い換えたいのですが、大丈夫でしょうか
いまの住まいのローンも残高200万円ほどになってきました。長男と次男は8畳の同じ部屋で生活しているのですが、次男も来年は中学なので自分の部屋を欲しがっています。70万円ほどでリフォームして間仕切りをつけようかと考えましたが、駐車場はないし、やはり買い換えたほうがいいのか悩んでいます。買い換えとなると現在48歳で、12年後に定年なので、ちょっと心配です。幸い退職金が一定額出るので、そのうち1500万円ほどはローン返済にあてたいと思っています。この年での買い換えは無謀でしょうか。

 伏見さんの相談のポイント
  • 48歳、定年まで12年の段階での買い換えは無謀?
  • もし買い換えるとすれば、どんなローンを利用するのがいいのか
  • 老後の心配のない資金計画を教えてください
■アドバイス
退職金の1500万円を一括返済に回せるのなら、決して無理のない資金計画が可能だと思います

いまの返済額と同等の資金計画

伏見さんは、ある信託銀行から固定期間選択型3年もの、年利1.10%のローンを勧められているそうです。3年経過後も全期間1.10%の金利優遇なので、比較的リスクは小さいと考えていらっしゃるようですが、実際にはどうでしょうか。たしかに、25年返済、年利1.10%なら、ボーナス返済しないときの毎月返済額は8万3991円で、年間にすれば101万円ほど。現在は、毎月5万円、ボーナス時29万円で、年間118万円の返済ですから、その範囲内に抑えることができます。しかも、仮に金利が定年を迎える12年後まで変わらないとすれば、その段階での残高は約1219万円。定年退職金から一括すれば、61歳以降は返済の必要がなくなります。老後の生活も安泰のようにみえます。

金利動向によっては3割以上増額の可能性も

とはいえ、この商品、金利が上昇したときのリスクが大きいのも事実です。全期間1.10%の金利優遇が適用されるそうですから、3年後の金利が3.0%に上がっていたとしても、適用金貨は1.90%で、毎月の返済額は8.7%増える程度ですみます。しかし、金利が仮に5.0%に上がってしまったとすれば、3割以上の増額になってしまうのです。ちょうどその頃にはご長男が大学を卒業されて就職される年になりますし、ご長女は高卒後就職される見込みのようですから、家計にはさほど無理はないかもしれません。ですが、50歳代になれば、公務員といえども収入はそろそろ横ばいになる可能性がないでしょうか。第一、金利の動向にヒヤヒヤさせられる毎日が続くと、仕事にも影響が出てきかねません。たしかに、金利が低いのは魅力ですが、そのリスクの大きさを考えると、あまりお勧めできるものではありません。

10年間の固定金利ならまず心配はなくなる

それに対して、現在は都市銀行などで固定期間選択型10年ものの金利を2.0%にする優遇金利制度が実施されています。こちらなら、多少金利は高くなりますが、10年間はまず返済額が変わらないという安心感があります。仮に11年目以降、若干金利が上がったとしても、2年後には定年退職金でローン残高を一括返済することができます。この場合も、やはり25年返済で組むと、当初の毎月返済額は9万3247円になります。年間にすれば約112万円です。固定期間3年ものに比べるとやや返済額は増えますが、それでも現在の年間返済額118万円よりは低いレベルにとどまります。しかも、金利が若干高いこともあって、10年後に金利が上がってとしても、増額幅は3年ものより小さくなります。しかも、金利が変わらないとすれば、12年後の残高は約1280万円ですから、退職金で残高を一括返済することが可能です。12年後の残高は3年ものより61万円ほど増えますが、実際には、3年ものは3年後以降に金利の変化が想定されるので、結果的にはさほどの差にはならない可能性もあるのではないでしょうか。10年固定にしては金利が妥当なことと、その間の安心感を考慮すると、3年ものよりは10年ものの2.0%の優遇金利のローンをお勧めしたいと思います。

12年後に一括返済するなら「フラット35」はさほど魅力はない

最近は公庫と民間が提携した新型のローン「フラット35」が注目されています15年以上35年までまったく金利が変わらないローンですが、適用金利は全国の金融機関が独自に決めることになっています。今年4月の実施金融機関の平均金利は2.75%です。20歳代、30歳代などの若い人で、35年の返済期間を利用したいという人からみれば、最も安全で魅力のあるローンですが、48歳で、しかも12年後には残高を一括返済できる予定の伏見さんにとっては、さほど魅力はないような気がします。念のために、全国の平均金利で25年返済のローンを組んだ場合の返済額を計算してみました。毎月返済額は10万1488円で、年間の返済額は約122万円。これだと、現在のローンの返済額を若干ですが、上回ってしまいます。11年目以降も金利と返済額が変わらないのは魅力ではありますが、固定期間選択型10年ものを利用しても、「フラット35」を利用した場合の返済額を上回るのは、11年の金利が当初10年の2.0%から3.5%以上になっていたときという計算になります。しかも、仮に11年目以降5%に上がっていたとしても、一括返済するまでの12年間の返済額は、固定期間選択型10年だと、1390万円ですが、「フラット35」では1461万円になります。その点からも、固定期間選択型10年もののほうが無難という気がします。

諸費用や老後の生活費も十分に配慮

ただ、いずれにしても注意しておいていただきたいのは、購入時には各種の諸費用がかかることと、老後の生活費の問題です。諸費用に関しては現在の貯蓄から充当される予定のようですが、そうなると若干手元に残るお金が心配です。公務員ですから、そうそうリストラの可能性もないでしょうが、当面の生活に影響が出ないように十分にご注意ください。また、定年後も5年間は再雇用が可能な制度があるようですから、ローンの一括返済で退職金が目減りしても、その後さらに増やせる可能性があります。リタイア後の生活設計まで見据えて買い換えを実行するようにしてください。

伏見さんの買い換え計画

現在の状況 築15の一戸建てに居住
売却可能価格800万円
ローン残高200万円
貯蓄600万円
購入予定価格 3000万円
自己資金 800万円※
※売却代金のうちローン残高を一括返済した600万円に、貯蓄から200万円を充当

1. 年利1.1%
融資の種類 借入額 金利 返済期間 毎月返済額 12年後の残高
銀行ローン 2200万円 1.10% 25年 8万3911円 約1219万円

2. 固定期間選択型10年もの年利2.0%
融資の種類 借入額 金利 返済期間 毎月返済額 12年後の残高
銀行ローン 2200万円 2.00% 25年 9万3247円 約1280万円

3. フラット35年
融資の種類 借入額 金利 返済期間 毎月返済額 12年後の残高
フラット35 2200万円 2.75% 25年 10万1488円 約1330万円

金利変動上昇によるリスクの可能性
1. 固定期間選択型3年もの
3年後の金利 優遇金利
(1.1%優遇)
返済額 負担増割合
3.0% 1.90% 9万1210円 8.7%
4.0% 2.90% 10万0862円 20.2%
5.0% 3.90% 11万1089円 32.4%

2. 固定期間選択型10年もの
3年後の金利 優遇金利
(0.2%優遇)
返済額 負担増割合
3.0% 2.80% 9万8681円 5.8%
4.0% 3.80% 10万5738円 13.4%
5.0% 4.80% 11万3086円 21.3%




 ▲ INDEX 

Copyright(C) NTT IF Corporation All Rights Reserved.